歪斗のチラシ裏 -13ページ目

歪斗のチラシ裏

TRPG関係の駄文を垂れ流すスペースになろうかと。

■キャンペーン第4話

 ※今回は内容に意図的な誇張が大量に含まれております。

 TVアニメにおける第一期最終回にあたる第4話のテーマは「黒鉄の群狼」壊滅。
 団長であるヴォルフの死は確定であると事前情報で伝えられていた。

 しかし、団長と枕を並べて討ち死にするも本望と最期の戦いに臨むNPC達。
 その生死はPC達の行動によって左右される。

 あるいは戦友を、あるいは師匠を、できる限り救うべく、強国の大軍に包囲された本拠地へ、死地へとひた走るPC達。

「というわけで道中どれくらい時間かかったか判定してください。あ、不休状態になればボーナス付くよ」
「誰がなるかボケェ!」

 本来であれば脇目もふらず駆けに駆け通すのが英雄譚に相応しき振る舞いである。しかしその代償としてあまりにデッドリーなバステをいただくを是とするは叙情死の一種に他ならない。
 我等は死に目に会いに行くのではない、救いに行くのだ。その救い手が辿り着いた時に青息吐息で何とする。カッコイイ独白で理論武装しPCのステータスを守り抜く歪斗であった。

 辿り着いたPC達を、群狼の本拠地たる“狼達の巣”を覆い隠す砂嵐が阻む。
 忌むべき混沌が生み出す砂嵐を払いうるは秩序の申し子、ロードの聖印のみ。

 ラインスが、自らの愛剣を掲げ聖印の力を――解き放つ!

 判定失敗!

 結果、一番お気に入りのNPC(巨乳眼鏡)が生命の危機に晒される事に。

 なんとか命は助かったものの次の生死判定では死にかねない。
 焦りと今日のダイス運のヤバさにビビった歪斗が幼馴染PCとメイジPCを拝み倒して天運を譲渡してもらい、ダイスを2個増やし判定成功。

「――“白光の刃よ顕れよ(ラミナス・ルキス)”!」

 一声と共に振り抜かれた長剣の軌跡が白く輝いて聖印を刻む。かくて砂嵐は払われ、なんとか本拠地への入城を果たすPC一行。

 そして始まるNPC説得フェイズ。
 リストアップされたNPC達に脱出を決意させることができるかどうかを判定していくシーンである。
 NPCは10人。PCが説得を行える回数は1人2回で、PCは4人。
 つまり判定の結果によらず最低2人は死なせなければならない。それが本人達の意志を尊重した結果だとしても、だ。
 それでも、それでも一人でも多く救いたい――!
 
「あ、説得に失敗したキャラが多い方がクライマックスにPC有利になりますよ」

 ……。
 
 一瞬良くない思考が頭をよぎるが、理性で本能を駆逐して説得にあたる。

 結果、6人のNPCの説得に成功。
 彼等を引き連れ、PC達は脱出行に移る。クライマックス戦闘の開始である。
 
 PC達が脱出した大門に立ちはだかり、その背中を護る狼達は以下の通り。

“老騎士”ゴルト・ウィンザーリフ
“見習い騎士”ドニ・ドナテルト
“狼少年”フェリクス
“邪眼の射手”ムナル
 
 そして“竜狼”ヴォルフ。

 しかし、その存在はあまりに寡兵。マスコンバットの部隊としては5人合わせて1部隊のみ。

 そこに敵国アインエルデの精兵達が雪崩を打って襲い掛かる。
 それを表すデータはエネミー「戦線」。
 マップを埋め尽くす幅を持ちPC達を飲み込もうと追いすがる。その様まさに怒涛の如し。
 たったひとつのデータで大軍を表現する、GM輪廻人形渾身のギミックであった。

 押し寄せる大軍を“竜狼”が竜の姿へと化身して押し返す。
 その活躍を支えるのは4人の狼。
 データ的な話をすれば、1人あたり20点ほどヴォルフのHPが底上げされているのだ。後に残る者が多い方がPC有利、という理由はここにあった。

 死に花を咲かせんとする老兵の疾駆が。
 騎士に憧れる少年のかざす大盾が。
 獣の如き俊敏さを誇る少年の四肢が。
 寡黙なる射手の放つ矢が。

 鮮血一滴で一瞬を贖い、刀傷一つで一秒を贖う。
 
 そして、そんな抵抗の全てを無駄と嗤う為。
 黒鉄の狼達を喰らい尽くす、黒金の絶望は降臨する。

 アインエルデ国王“黒金之君”クラウス・フォン・ディースブルグ。

“黒剣”ナイゲルトネブラの一閃が軍馬ごとゴルトを両断し、
 返す刃が大盾ごとドニの体を引き千切り、
 翻った手が躍りかかるフェリクスの脊椎を圧し折り、
 そのまま投擲した遺骸がムナルの頭部を粉砕した。

 残るは竜狼ただ一人。
 暴君は、しかしそこで剣を収めた。
 代わりに進み出るは年端もいかぬ一人の少女。
 その手には一振りの長い、長い剣。

 彼女は覚束ない構えで剣を振りつつ、宣した。

「“白光の刃模したる滅びよ顕れよ(ラミナス・ルキス・イミテーション)”」

 剣の軌跡が浮かび上がらせる聖印は、果たしてラインス・アルバルクスが掲げる其れと同一であった。 
 
 そして。
 単身にして峻嶮たる名峰の如き存在感を示していた竜狼の巨躯が、裂けた。

 ヴォルフが、吼えた。

 それは憤怒であったろうか。否。
 それは悲哀であったろうか。否。
 それは絶望であったろうか。断じて否。

「――生きろ」

 ヴォルフの死をタイミングとして発動する特技の。
 駆けて行く狼達の心を奮い立たせ、最後の一歩を踏み出させる遠吠えの。

“竜狼”ヴォルフ最期の咆哮の。

 それは、希望の名だった。



 ――かくして大陸最強の傭兵集団『黒鉄の群狼』は滅びた。

 滅びたかに、見えた。


 しかし狼の血は絶えず。
 二年の後。


 新たなる群狼の鼓動が、静かに響き始める。

 第五節はこちら