2000/6/05 (Fri)

 あの事故から一年の時がたった。あれから一年、あたし達は変わらず一緒に笑っている。いつも、笑っている。あの時から変わった事といえば、毎日会えなくなった事。アイツが一人暮らしではなく、実家に戻ったからだ。

 アイツはあの事故で試験勉強もままならず、それまで通っていた会社の面接にも行く事が出来なかった。そして今、その日々を取り戻すかのように試験勉強に没頭している。あたしはそんなアイツの邪魔はできない。

 一年前、勉強するアイツの横でテレビを見たり、ゲームをしたり、絵を描いたり。たまに手を休めて一緒に笑う。お互い、テキトーなのがモットーだけれど、譲れない事は譲れない。負けず嫌い。そんな所が似ている気がする。B型だからか。

 血液型なんて4種類しかなくて、そんなので性格を決め付けて欲しくはないが、B型というのは確かにテキトーな気がする。楽観的でワガママで好奇心旺盛で。末っ子というのも手伝って世渡り上手。長男とか長女のような失敗はしない。どんな事をすれば怒られるか、誉められるのかわかってるからだ。長男とか長女みたいに責任感はないけれど、自由な発想ができる。そんなところだろうか。

 あの事故で、離れてひとりでアイツを想う事を学んだ。それまでいつも一緒にいたから忘れていた何か。アイツがそこにいることの重大さ。肌の温かさ。ぬくもり。部屋の広さ。調味料の場所。帰り道の途中のくらやみの怖さ。中央線の遅さ。立川駅のバス。病院の空気。1時間のあまりの短さ。

 あの長い2週間は、あたしとアイツを繋げる糸を、確実に太いものにしてくれた。そう思える。アイツもきっとそう思っている。

あの事故があたしに与えてくれたもの。アイツそのものかもしれない。