1999/6/11 (Fri)
ついに明日。
今日、1枚の紙切れを貰った。税制改革とかなんとか書いてある紙の裏に見覚えのある丸くて小さくて愛しい文字達。ディアのりこと書かれている。すぐに読むのはもったいなくて、大切に大切に大きな鞄にしまった。
アイツが行っていた病院は、駅から歩くとなると少し遠い。行きは少しでも早く行きたいからバスを使っていたけど、帰りは20分に1本ペースのバスを待つくらいなら歩いた方が早いから、あたしはいつも歩いていた。
ここを何度歩いただろう?1時間を共に過ごすために。アイツの笑顔を見るために。一日の疲れを癒すために。
いい意味でも悪い意味でも忘れられない道になるであろうこの道をしっかりと目に焼きつけるために、あたしはいつもよりゆっくり歩いた。
アイツに出会わなかったら、アイツが事故に遭わなかったら、こんな時間にこんなに大きな荷物をもって、こんな所を一人で歩くことはなかっただろう。
そんな偶然を必然だと思うために。そんな運命をうけとめるために。
いつものように主人不在の部屋に、いつものように大きな鞄を置いて、いつものように自分用のジャージを着て一息つく。
明日の今頃は何をしてるのだろう?おそらくずっと離れずに、奪われた時間を取り戻すために寄り添っているだろう。
大きな鞄に大切にしまってあった紙切れを取り出す。
全部で三枚。二枚にはひとりであの空間に居た間考えていたであろうことの走り書きとあたしやアイツの似顔絵が書いてある。
残りの一枚はあたしへ宛てた手紙。
ただの紙切れなのに。それ単体ではただのゴミでしかないのに。
そこに文字が載せられてるだけで、何故こんなに愛しいんだろう。
内に秘めた狂気を、理性で抑えて前向きになろうなろうとするアイツの気持ちがゆったりと伝わってくる。
アイツの理性が狂気を抑えきれるようにあたしはアイツを守る。包む。
薬には大きく分けて2種類ある。ひとつは痛み止めのように病気の進行を忘れさせるようなもの、もうひとつは病気や痛みの元を直そうとする体の機能を助けるもの。あたしは医者でも看護婦でもないから、後者の役目は無理だ。
でも、前者の役目だったらできる。
あたしが一緒にいる時だけでも、これからのことへの不安や憤りを忘れ笑っていられるのならあたしはずっと側にいる。
病気や痛みを直すのは本人の身体であって、それを助けるのは医者であって。
アイツにとってあたしは麻薬みたいなものかもしれない。
体を滅ぼさない麻薬。
そう、恋人なんて麻薬だ。手元にないと欲しくて欲しくてたまらなくて。体に馴染めば馴染むほどより欲する。何もかも忘れたかのように気持ち良くて楽しくて。
その気持ち良さをずっと味わえば味わうほど失った時の苦しみは大きくて。
やめられない、止まらない。
アイツという麻薬は明日手に入る。
あたしという麻薬は明日受け渡される。
あたしはいますぐ麻薬(アイツ)が欲しい。
ついに明日。
今日、1枚の紙切れを貰った。税制改革とかなんとか書いてある紙の裏に見覚えのある丸くて小さくて愛しい文字達。ディアのりこと書かれている。すぐに読むのはもったいなくて、大切に大切に大きな鞄にしまった。
アイツが行っていた病院は、駅から歩くとなると少し遠い。行きは少しでも早く行きたいからバスを使っていたけど、帰りは20分に1本ペースのバスを待つくらいなら歩いた方が早いから、あたしはいつも歩いていた。
ここを何度歩いただろう?1時間を共に過ごすために。アイツの笑顔を見るために。一日の疲れを癒すために。
いい意味でも悪い意味でも忘れられない道になるであろうこの道をしっかりと目に焼きつけるために、あたしはいつもよりゆっくり歩いた。
アイツに出会わなかったら、アイツが事故に遭わなかったら、こんな時間にこんなに大きな荷物をもって、こんな所を一人で歩くことはなかっただろう。
そんな偶然を必然だと思うために。そんな運命をうけとめるために。
いつものように主人不在の部屋に、いつものように大きな鞄を置いて、いつものように自分用のジャージを着て一息つく。
明日の今頃は何をしてるのだろう?おそらくずっと離れずに、奪われた時間を取り戻すために寄り添っているだろう。
大きな鞄に大切にしまってあった紙切れを取り出す。
全部で三枚。二枚にはひとりであの空間に居た間考えていたであろうことの走り書きとあたしやアイツの似顔絵が書いてある。
残りの一枚はあたしへ宛てた手紙。
ただの紙切れなのに。それ単体ではただのゴミでしかないのに。
そこに文字が載せられてるだけで、何故こんなに愛しいんだろう。
内に秘めた狂気を、理性で抑えて前向きになろうなろうとするアイツの気持ちがゆったりと伝わってくる。
アイツの理性が狂気を抑えきれるようにあたしはアイツを守る。包む。
薬には大きく分けて2種類ある。ひとつは痛み止めのように病気の進行を忘れさせるようなもの、もうひとつは病気や痛みの元を直そうとする体の機能を助けるもの。あたしは医者でも看護婦でもないから、後者の役目は無理だ。
でも、前者の役目だったらできる。
あたしが一緒にいる時だけでも、これからのことへの不安や憤りを忘れ笑っていられるのならあたしはずっと側にいる。
病気や痛みを直すのは本人の身体であって、それを助けるのは医者であって。
アイツにとってあたしは麻薬みたいなものかもしれない。
体を滅ぼさない麻薬。
そう、恋人なんて麻薬だ。手元にないと欲しくて欲しくてたまらなくて。体に馴染めば馴染むほどより欲する。何もかも忘れたかのように気持ち良くて楽しくて。
その気持ち良さをずっと味わえば味わうほど失った時の苦しみは大きくて。
やめられない、止まらない。
アイツという麻薬は明日手に入る。
あたしという麻薬は明日受け渡される。
あたしはいますぐ麻薬(アイツ)が欲しい。