大事な人が大事な時に事故に遭った、あの時。

1999/5/23(Sun)

この時ほどここの地理に詳しくない自分をくやんだことはない。

この時ほど自分に羽が生えていない事をくやんだことはない。

向かう間、いろいろな事を考えた。元気だった。元気だったけど動かなくなっている足はどうなっているのか。サッカーが好きで、就職したらまたその大好きなサッカーができることになるのをあんなに楽しみにしていたのに。

一生車椅子なんてことになったらどうしよう。

アイツの精神的な苦痛を支えられるだろうか。

私はそんなアイツを同情とか哀れみとか余計な感情を持たずに愛しつづけられるだろうか。

事故の状況も、ケガの状況もわからないまま私は病院についた。普段は匂いが近づくだけでヨダレがでてしまうであろう石焼きいものトラックを見て”なんで病院に石焼きいもなんだよ!”と怒りを感じた。こんなことは最初で最後かもしれない。

緊急の診療室からかすかにアイツの名を呼んでいる医者の声が聞こえた。しばらくして、医者や看護婦に囲まれたベットに横たわったアイツが出てきた。足こそ傷を負っているが、頭や手、体には異常が見られない。その時着ていたらしいボーダーのシャツを私に渡す。アイツは笑って手を振っていた。

怪我や傷はたいしたことはないと知り安心したが、私は知っている。アイツがこれから受ける試験に向けて勉強していた事、就職活動をしていて、それは順調に進んでいた事。1次面接、2次面接。中には次が最終面接のものもあった。これからおこりうる松葉杖での面接や試験、そこまでの道のりを考えていたら私の中からドラマやまんがを見て流してるものとは違った液体がいつのまにか出ていた。

アイツは笑っていた。

「大丈夫だよ。」

私は目を赤くしていた。

「・・・。」

アイツは元気です。足の裏は真っ二つになってしまったけど。
幸い右足以外は負傷が見られない。かさぶたが手と頭に1つづつ。

アイツは元気です。

私は元気です。

みなさんお元気ですか?

…続く。