昨日も書いたが私が副作用で一番嫌だったのは、点滴後数日のダルさだった。そのダルさというものは、何だか心の火が消えてしまったようなやる気の沸かない、どうにも体が動かない状態にさせる異様なものだった。何とも表現し難いが日常生活をする上で必要な一歩目が動かないのである。そうなると自分でもどうしたらいいのか分からず、しかしこんな事ではダメだという自戒の念は強くなる一方で次第にメンタルがやられていった。やはり人間、体がいうことを聞かなくなってくると心が荒んでいくことを初めて実感した。

しかし、数日すると嘘のようにその状態から回復し心の火も灯り元気に動けるようになった。船酔いのときの船から降りた時のあの感じ。え?みたいな。

言われてはいたが回数を重ねるごとに副作用はキツくなっていった。経験値による体感ダメージの軽減はあったが、次第にそれも上回られた。薬は蓄積していった。体調が悪い時に飲むTS-1の辛いこと…。さらに悪くするものを自分から体にはいれるという笑い泣き体に申し訳なかった。

途中、再発は無かったが白血球の数値が悪くなり2回ほどセット延期があった。とても嬉しかった。冬に始まった抗ガン剤も次第に暖かい季節になっていき、寒い、冷たいに敏感な副作用がだいぶ楽になっていった。ビビらず過ごせるようになった。

抗ガン剤治療中の想定違いは、痩せなかったことと仕事がちゃんと出来た事だった。腸の回復具合と相談しながらではあったが調子がいい時は普通にお腹が減り、食べられない時の分までという思いでバッカバカ食べていた。そして手術前の状態まで体重は戻っていった。つまり太った。仕事も調子が戻ればそれなりに出来た。もちろん仲間には大変助けられたが。抗ガン剤が始まれば体は痩せ細り、四六時中オエオエするのかと思っていたら全然違った。ま、私のやった予防的抗ガン剤はこんなものなのだろうけど。

結局8セット、6月に抗ガン剤投与は終了した。