(2023年8月に詠んだものです。)

さて冬季オリンピックの種目にスキージャンプがある。
今は基準が違うらしいが、以前は、選手がスキージャンプして、K点を超えると得点、超えないと減点された。
スキージャンプのジャンプ台の傾斜が丁度終わるところに赤いラインが引かれていて、
そこがK点だった。
K点を超えるには危険伴うから極限点とも言われた。
K点に達しなくても減点になるが、失格にはならない。

ふと不意に
サイは私に
投げられた
誤作動起きた
体で行けと

※ALS罹患の運命のサイは不意のように投げられた。
誤作動の起きた体で生きていきなさい、と。

 投げられた
二つ同時に
サイとサジ
断崖に立ち
歌を呟く

※「(運命の)サイ」と「(不治の病で医者からの)サジ」は、同時に投げられた。
人生の分岐点に挑むような断崖絶壁に立ち、これからの想いを歌を呟くように詠んでいこう。

K点を
越えた先には
逝く自由
逝かない自由
どちらも自由

※極限の先にあるというK点。
そのK点を超えるように、延命治療を受けるかどうかの選択は、どちらも尊重されるべきだと思う

半世紀
生きた重みが
背中押す
天寿明るく
全うせよと

※ALS罹患は悲しいは悲しい、辛いは辛い。
だけどもやっぱり明るく生きていきたい、最後まで。
半世紀生きてきた重みと経験が私の背中を支えるように押してくれている。