さて、(結婚式で白無垢を着てスピード婚した)友人Kちゃんの子供時代のお話しです。

Kちゃんの実家は、街の商店街にある中華料理屋さん。
おやつにポッキーやたけのこの里が出されたことはない。
親は言う。
「お腹がすくなら、自分でラーメンでも作って食べなさい。
お母さんもお父さんも忙しいんだからね!」
ラーメン、、、
それは店のラーメンを意味する。
夏は冷やし中華にはなるが、スープは同じ。
あ、飽きる、、、

その頃、KちゃんはあるCMに心を奪われる。
(サッポロ一番、味噌ラ〜メン〜)
(やっぱりこの味!)

Kちゃんは思った。
「私も(この味)を食べてみたい!」と。
だがそれは難しかった。
親にバレたらただでは済まない。
昭和世代、暴れはっちゃくの父ちゃんの如し。
(お尻ぺんぺんだけで済むはずがない、、、、)
でも、夢は諦めたくない!
そうだ!
従兄弟の家で食べればいいんだ!
Kちゃんは見ていた、従兄弟の家の戸棚にあったオレンジのパッケージを。

初めて(この味)を食べたKちゃんは感動した。
以来、従兄弟の家を訪れるたびに食べることが習慣になった。
が、しかし、親に知られてはいけない。
Kちゃんは心の秘密を集める小箱にズシリと重い鍵をかける。
でも、彼女はそれでも何の問題もなかった。
(この味)を知った喜びで足取りも軽かったからである。
が、しかし親のラーメンも食べなければならず、お腹がタプタプになることもあった。

これがKちゃんの子供時代の切なくも甘い塩辛メモリーである。