(2023年夏頃に書いたものです。)
さて、再び場所は理学療法室。
理学療法士さんは、今度は下半身を動かしたりマッサージしたり。
「両手は胸の上で組んでいて下さいね!」
手指の硬直予防のためだろうか?

目をつむり胸の上で両手を組む私。
ふっと、讃美歌を口ずさみたくなった。
「マリア様の心〜それは青空〜私達を包む広い青空〜」
私は昔、カトリックの幼稚園に通っていた。シスターと一緒に歌った歌だった。
まだ覚えていた!

ふわっと、心が次元と時空を超えていった。
時は紀元前、場所は古代エジプトのピラミッド。
古代エジプト第18王朝のファラオ、ツタンカーメン王。
その妻、アンケセナーメン妃。
実はアンケセナーミンの墓に彼女はいなかった。
お棺を開けたら空だったのだ。盗まれたのか?それとも、、、?
肉体は滅びても霊魂は永遠、だから来世で生き返った時のために、ミイラとして肉体を保存する。
古代エジプトのロマン。
もしかしたら、アンケセナーミンは本当に生き返りお棺から抜け出したのではなかろうか?

「はい、終わりましたよ!」
施術後、理学療法士さんが私を抱き起こす。
今、3350年の時を経てアンケセナーメンの魂は蘇る。
私の肉体を借りて。

(ファンタジーにお付き合いくださりありがとうございました。)