飼い主さんと動物の
架け橋を作り支える獣医師
かわの わいちろう
です

 

 

 

はじめましての方は

獣医師《かわの わいちろう》について
ご覧下さい。

 

獣医師 《かわの わいちろう》について

 

 

《獣医師かわの わいちろう》

 

◆飼い主さんに寄り添って20年

◇町医者(総合診療医)だからこそ出来る事がある

◆獣医療をより身近に感じて頂けると幸いです

 

飼い主さんにとって、動物にとって

自分の経験を活かし何か出来る事はないか。

 

飼い主さんと動物の架け橋を作り支える為に

 

現在獣医師臨床現場その他も含め活動中

 

 

腎臓と点滴治療について 

 

 

インスタライブで、

次のような質問を受けました。

 

「多飲多尿と腎臓、点滴治療について知りたいです」

 

 

 

 

この飼い主さんは過去に点滴をしていて、

肺水腫か肺炎で亡くなった事もあり、

点滴にトラウマがあるとのこと。

 

 

今回は、

「腎不全と点滴治療」

についてのお話しです。

 

 

 

 

多飲多尿とは? 

 

 

多飲多尿という言葉、

聞い事ありますか?

 

腎不全における多飲多尿は、

たくさん尿が出て喉が渇いた結果

たくさんのお水を飲みます

 

 

 

 

腎不全を抱えた犬や猫は、

常にたくさんの薄い尿が出ますので、

常に脱水気味になっているという事です。

 

それを補うために、

頑張って飲んでいる状態なのです。

 

 

 

 

水分補給のルートを確保 

 

 

腎不全が進行してくると、

気持ちが悪くなってお水が飲めなくなったり

せっかく飲んだ水を吐いてしまう事が

あります。

 

そんな状態でも、

尿はたくさん出続けます。

 

すると、

体はあっという間に

脱水を起こしてしまいます

 

 

 

 

これを防ぐには、

お口からお水を飲むのとは別に、

水分補給するルートが必要になります。

 

その一つが、

皮下点滴になります。

 

 

 

 

皮下点滴について 

 

 

人では、

体に水分を入れるルートについては

静脈点滴が一般的だと思います。

 

動物の場合も静脈点滴を行いますが、

人と違って皮下にも点滴を行います

 

 

 

 

なぜ動物だけ皮下点滴を行うのか?

 

それは、動物は人と違って

皮下の組織がとてもルーズで、

スペースに余裕があるからです。

 

このスペースに輸液を入れるのが

皮下点滴です。

 

 

 

 

皮下点滴された水分は、

毛細血管からゆっくり吸収されていき、

静脈点滴と同じような効果を得られます。

 

さらに、

皮下点滴は自宅で飼い主さん自ら行えるので、

ストレスとなる通院をしなくても良い

という大きなメリットもあります。

 

 

 

 

ちょうどよい水分量 

 

 

皮下点滴を行うことで、

お口以外からの水分補給が

可能になりました。

 

これで安心?

ではありません。

 

大切な事は、

「適切な投与量」

です。

 

 

 

 

体には適切な水分量が必要です。

それは、多くもなく少なくもなく、

「ちょうど良い」水分量が必要

なのです。

 

水分が足りなければ脱水、

逆に多くすぎる場合は、

過水和(かすいわ)と言います。

 

この過水和、

実は腎臓にダメージを与えてしまうだけでなく、

肺水腫などのリスクを伴うのです。

 

 

 

 

基本的な考え方 

 

 

皮下点滴を行う目的は、

脱水を防ぐための水分補給です。

 

この水分補給によって、

腎不全によって上昇している数値も、

結果的に下降傾向になります。

 

 

 

 

ここで注意が必要なのは、

あくまで脱水を防ぐための点滴であって、

腎不全の数値を下げるための点滴ではない

という事です。

 

なぜなら、

数値を下げることを目的としてしまうと、

点滴量の増加の結果、

過水和のリスクが生じてしまうからです。

 

 

 

 

まとめ 

 

 

今回の質問は、

 

「多飲多尿と腎臓、点滴治療について知りたいです」

 

というものでした。

 

  • 多飲多尿とは、たくさん尿が出るから喉が乾いてたくさん飲む
  • 腎不全ではお口以外の水分補給ルートの確保が大事
  • 皮下点滴は水分補給の重要なルート
  • 皮下点滴は、静脈点滴と同等の効果があり、飼い主さん自らが行えるメリットもある
  • 皮下点滴を行う際は、過水和に注意
  • 皮下点滴の目的は、脱水を防ぐためであって、数値を下げるためではない
 
このようにまとめることができると思います。
 
 
 
 
水分の補給ルートとして、
皮下点滴のお話しをしました。
 
しかし、
お口から十分な水分補給ができるのなら
皮下点滴は必要ありません。
 
むしろ、
お口から摂取された水分は
皮下点滴よりも過水和を起こしにくく、
安全と言われています
 
 
 
 
お皿からの飲水、
水分を多く含む食事など、
十分な水分量を確保できる状況なら、
皮下点滴の必要性は低いと言えます。
 
それでも、
腎不全が進行していけば、
お口からの飲水や食欲にムラが出てきます
 
そんな時に皮下点滴が入っていれば、
急激な脱水を防ぐ事ができるメリットは
大きいです。
 
 
 
 
また、その子によっては
皮下点滴をしていた方が食欲が安定するなど、
個体によって適応が変わってきます。
 
 
腎不全の犬や猫はとても多いです。
 
今回のお話しがお役に立てれば幸いです。

 

 

 

次回更新は、6月14日(水)予定です。

 

 

 
 
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