飼い主さんと動物の
架け橋を作り支える獣医師
かわの わいちろう
です

 

 

 

はじめましての方は

獣医師《かわの わいちろう》について
ご覧下さい。

 

獣医師 《かわの わいちろう》について

 

 

《獣医師かわの わいちろう》

 

◆飼い主さんに寄り添って20年

◇町医者(総合診療医)だからこそ出来る事がある

◆獣医療をより身近に感じて頂けると幸いです

 

飼い主さんにとって、動物にとって

自分の経験を活かし何か出来る事はないか。

 

飼い主さんと動物の架け橋を作り支える為に

 

現在獣医師臨床現場その他も含め活動中

 

 

重たい咳が出ます 

 

 

インスタライブ

次のような質問を受けました。

 

 

「重たい咳がよく出ます。見守るしかないですか?」

 

 

 

 

この子は重度の僧帽弁閉鎖不全症です。

  • 咳は心臓からくるのでしょうか?
  • それ以外は何が考えられるでしょうか?
  • 心臓が悪いとなぜ咳が出るのでしょうか?
 
今回は、
「咳の原因」について
お話ししていきます。
 
 

 

 

軽い咳は? 

 

 

ケホケホ、とちょっとむせるような

軽い咳。

 

このような比較的軽めの咳

ノドのあたりの異常の事が多いです。

 

人でも軽いノドのイガイガに伴う、

軽い咳がこれに当たります。

 

 

 

 

重い咳は? 

 

 

それでは、

ゲホッゲホッと腹筋が筋肉痛になるような

重い咳。

 

このような重い咳は、

気管や気管支の問題の事が多いです。

 

 

 

 

気管は1本の太い管から始まり、

胸の真ん中あたりで

左右の肺に分岐していきます。

 

分岐するまでを気管(木の幹)

分岐した先が気管支(幹から出た枝)と言います。

 

 

 

 

人でちょっと飲み物が気管に入ると、

とても強くむせますよね?

気管や気管支の異常は、

とても強い咳が伴います。

 

 

 

 

気管や気管支の代表的な異常は? 

 

 

代表的なものは、

気管虚脱気管支虚脱です。

 

気管は掃除機のホースのような構造で、

しっかり円柱の形を維持しています。

 

ところが虚脱になると、

この円柱の形が潰れてひしゃげてしまい、

気管の粘膜と粘膜が接触することが刺激となり、

重い咳が誘発されます。

 

 

 

 

心臓病の時の咳は? 

 

 

心臓病の子の場合の咳は、

気管から来る重たい咳になります。

 

理由は、心臓が肥大しているからです。

 

 

 

 

心臓の悪い子は多くの場合で心臓が肥大し、

心臓の真上を走っている気管に

その鼓動が伝わるようになります

 

その心臓の鼓動の刺激によって咳が誘発

されてしまうのです。

 

 

 

 

心臓は胸の真ん中に位置するので、

喉の近くではなく

奥深い気管の位置でむせるような状況になり、

とても重たい咳となります。

 

 

咳はコントロールできる? 

 

 

この重たい咳、コントロール可能なんでしょうか?

 

 

気管虚脱

基本的には咳止めなど対症療法になりますが、

重度のものになると外科的な対応が必要になります。

 

 

気管支虚脱

気管虚脱と異なり、外科的な対応はできません。

対症療法のみで付き合っていく事になります。

 

 

心臓肥大による咳

肥大した心臓をなるべく小さくすれば、

気管への刺激は軽減します。

 

これには、強心剤、血管拡張薬、利尿剤など、

用量や組み合わせを駆使し、

心臓の容積を減らしていきます

 

 

 

 

まとめ 

 

 

今回の質問は、

 

「重たい咳がよく出ます。見守るしかないですか?」

 

と言うものでした。

  • 重たい咳は気管や気管支の異常に起因
  • 気管虚脱や気管支虚脱が代表的疾患
  • 心臓病も重たい咳を誘発
  • その場合は心臓肥大による気管への物理的な刺激が原因
  • 心臓の容積を減らす薬剤で咳を軽減
このようにまとめられると思います。
 
 
 
 
咳止めでよく使われるのは、
かつてはブトルファノールと言うお薬でした。
 

この手のお薬は頭に作用するので、

ふらつきが出たり眠ってしまったり、

時には下痢をしたりといった

副作用が出ていました

 

 

 

最近使われようになったのは、

マロピタント(商品名セレニア)と言うお薬です。

 

実はこれ、吐き気どめや乗り物酔いのお薬です。

このお薬の作用に咳止め作用があるのです。

 

 

 

 

用量を上げれば上げるほど、

咳止めの作用が強くなります。

しかも副作用がほぼありません。

 

錠剤の内服薬として処方できるので、

頓服で持っておいてもらえるので

とても便利です。

 

しかし、現状まだまだお薬の値段が高いので、

中型犬以上には出しにくいです。

 

 

 

 

今回は咳の原因についてのお話しでした。

ご参考にして頂ければ幸いです。

 

 

次回更新は、3月22日(水)予定です。

 

 

 
 
獣医師 かわの わいちろうを
よろしくお願いします!