飼い主さんと動物の
架け橋を作り支える獣医師
かわの わいちろう
です

 

 

 

はじめましての方は

獣医師《かわの わいちろう》について
ご覧下さい。

 

獣医師 《かわの わいちろう》について

 

 

《獣医師かわの わいちろう》

 

◆飼い主さんに寄り添って20年

◇町医者(総合診療医)だからこそ出来る事がある

◆獣医療をより身近に感じて頂けると幸いです

 

飼い主さんにとって、動物にとって

自分の経験を活かし何か出来る事はないか。

 

飼い主さんと動物の架け橋を作り支える為に

 

現在獣医師臨床現場その他も含め活動中

 

パラディアの薬用量 

 

 

 

インスタライブ

次のような質問を頂きました。

 

「体重薬15kg、悪性腫瘍でパラディアを服用していますが、副作用のため25mgから15mgに減らしました。効果ありますか?」

 

 

 

 

癌、肉腫といった悪性腫瘍は、

平均寿命が延びれば延びるほど

人でも動物でも発症率が上がっています。

 

さまざまな抗がん剤が存在する中で、

近年パラディアというお薬が注目されています。

 

今回は、

「パラディアの薬用量」

についてのお話しです。

 

 

 

パラディアとは? 

 

 

パラディアというお薬は、

抗悪性腫瘍薬になります。

 

パラディアというのは商品名で、

お薬自体の名前はトセラニブです。

 

抗悪性腫瘍薬と言っても、

従来の抗がん剤とはちょっと違います。

 

 

 

 

分子標的薬と言って、簡単に言うと、

目的とした作用に絞り込んで

副作用を極力削ぎ落としたもの、になります。

 

分子標的薬であるパラディアは、

抗悪性腫瘍でありながら副作用は軽度で、

自宅で2日に1回服用する点でも、

通院や入院のストレスがかなり軽減されるお薬です。

 

 

 

 

抗悪性腫瘍薬といっても

悪性細胞を撲滅すると言うよりも

発育を抑制する感じになりますが、

副作用が強く、効果の薄い場合も多い抗がん剤より

期待値は高いです。

 

 

どんな悪性腫瘍に効く? 

 

 

パラディアは、

「肥満細胞腫」と言う悪性腫瘍に対して

発売されたものです。

 

肥満細胞腫は犬ではかなり致命的な、

厄介な悪性腫瘍です。

 

 

 

 

このパラディアですが、

実は他の悪性腫瘍にも効果的である事が

わかってきています。

 

適応外使用になりますが、

従来の抗がん剤と比較しても、

私自身も明らかな効果を実感しています。

 

 

 

 

従来の薬用量では副作用が、、、 

 

 

このパラディアの肥満細胞腫に対する

本来の薬用量としては、

「体重1kgあたり3mg」くらいです。

 

ところがこの薬用量、

ほとんどのケースで副作用が出てしまいます。

 

 

 

 

パラディアの副作用は主に、

嘔吐、下痢、食欲不振といった消化器症状です。

 

この副作用ですが、

ほとんど場合で服用を中止すれば回復します。

 

 

 

 

実際の用量は? 

 

 

副作用がでない実際に使用する用量は、

「体重1kgあたり2mg」

あたりになると思います。

 

現実的には

副作用が出ない程度の用量を

継続していく事が大事だと思います。

 

 

 

 

それではこの、

「体重1kgあたり2mg」

効果はあるのでしょうか?

 

答えは、「あり」です。

 

私の経験、私の知りうる情報では、

「体重1kgあたり2mg弱」でも

明らかな延命効果を実感しています。

 

 

 

 

今回のケースでは? 

 

 

今回のワンちゃんの体重は15kgです。

 

「体重1kgあたり2mg」の量は、

体重15kg ×  2mg  =30mg

です。

 

しかし実際には25mgでも副作用が出てしまい、

15mgに減薬しています。

 

 

 

 

15mgと言う用量は15kgの子にとっては

「体重1kgあたり1mg」の量になります。

 

この用量で効果があるかどうか?

残念ながらわかりません。

 

しかし、考え方を変えて、

“最終的な目標量に向かうための導入量”

として捉えてもらう提案をしました。

 

 

 

 

まずは

「体重1kgあたり1mg」の量に慣れてもらう事、

1ヶ月くらいしたら次の用量

「体重1kgあたり1.5mg」の量にチャレンジ

問題が生じなければさらに

「体重1kgあたり2mg」の量にチャレンジする、

と言った具合です。

 

実際にゆっくり用量を上げることによって、

お薬を増やせた子もいます。

 

 

 

 

もちろん副作用が出れば、

その用量よりやや低い用量で継続する事になります。

 

飲み続ける事、飲み続けられる事が

とても大事なお薬だと思います。

 

 

まとめ 

 

 

今回の質問は、

 

「体重薬15kg、悪性腫瘍でパラディアを服用していますが、副作用のため25mgから15mgに減らしました。効果ありますか?」

 

と言うものでした。

 

  • 15mgは用量としては効果は不明
  • しかし継続する事でお薬に慣れて、増量できる可能性あり
  • もし増量できない場合でも、副作用が出ない程度の用量を継続することが何よりも大事
とまとめられると思います。
 
 
 
 
パラディアは、
  • 2日に1回自宅で服用する
  • 投薬のための通院が不要
  • 従来の抗がん剤より副作用が軽度
  • 明らかな効果を認める場合あり
私自身も、肝臓腫瘍、肺腫瘍、脳腫瘍など
さまざまなケースでオーナー了承のもと
試しにパラディアを使用し、
腫瘍が一時的に縮小したり発育が停滞したり、
これまでの抗がん剤よりも効果を実感しています。
 
 
 
 
肥満細胞腫以外は適応外使用になると言う点には
注意が必要ですし、説明が必要になりますが、
メリットとデメリットを考えれば試す価値はあると思います。
 

 

次回更新は、2月27日(月)予定です。

 

 

 
 
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