飼い主さんと動物の
架け橋を作り支える獣医師
かわの わいちろう
です

 

 

 

はじめましての方は

獣医師《かわの わいちろう》について
ご覧下さい。

 

獣医師 《かわの わいちろう》について

 

 

《獣医師かわの わいちろう》

 

◆飼い主さんに寄り添って20年

◇町医者(総合診療医)だからこそ出来る事がある

◆獣医療をより身近に感じて頂けると幸いです

 

飼い主さんにとって、動物にとって

自分の経験を活かし何か出来る事はないか。

 

飼い主さんと動物の架け橋を作り支える為に

 

現在獣医師臨床現場その他も含め活動中

 

 

真性の多血症とそうでない多血症 

 

 

インスタライブ

次のような質問を頂きました。

 

「犬の多血症の事を知りたいです。調べてもあまり分かりませんでした。」

 

 

 

 

多血症について、

本当の多血症(真性多血症)は

滅多に遭遇しません。

 

では、

真性ではない多血症とは?

 

今回は、

「多血症」について

お話ししていきます。

 

 

 

 

多血症とはどんな状態? 

 

 

読んで字の如く、

血が多い病気、と言う意味です。

 

血が多いとは漠然としていますが、

要は赤血球が多い状態を指します。

 

 

 

 

何が原因で赤血球が増えるのか?

  • 遺伝的な要因
  • 酸素が不足する病気の存在
  • 腫瘍の存在

これらが考えられます。

 

 

 

 

遺伝的な要因 

 

 

これは、

「真性多血症」

と言われるもので、

稀なケースになります。

 

 

 

 

遺伝的な問題と言われていて、

根本的な治療ではなく、

対症療法になります。

 

定期的に

血液を抜く(瀉血;しゃけつ)

という処置を行っていきます。

 

 

 

 

酸素が不足する病気の存在 

 

 

酸素が不足する原因として

一番考えられるのは、

肺の病気になります。

 

肺に何かしらの問題があると、

空気中から酸素を取り込む事が

できなくなります。

 

 

 

 

この状態が慢性的に続くと、

体は酸素不足を解消しようとして、

赤血球を増やします。

 

これを二次性多血症と言います。

 

 

 

 

よく遭遇する二次性多血症は

副腎皮質機能亢進症、

いわゆるクッシングと言う病気です。

 

クッシングでは、

微細な血栓が肺の毛細血管に詰まって

肺の機能が低下し、

多血症の傾向が出てきます。

 

 

 

 

この場合、

基礎疾患であるクッシングを治療すれば、

多血症は徐々に改善していきます。

 

 

腫瘍の存在 

 

 

こちらも比較的稀ですが、

例えば腎臓の腫瘍があると

二次性の多血症になる可能性

あります。

 

 

 

 

腎臓には赤血球を作るためのホルモン

「エリスロポイエチン」

を分泌する細胞が存在します。

 

腎臓に腫瘍ができた場合、

その腫瘍細胞が

エリスロポイエチンを過剰に分泌する

場合があり、

二次性多血症を発症する可能性があります。

 

 

 

 

まとめ 

 

 

今回の質問は、

 

「犬の多血症の事を知りたいです。調べてもあまり分かりませんでした。」

 

でした。

 

  • 多血症には真性と二次性がある
  • 真性は稀で、対症療法(瀉血)が治療法
  • 二次性には基礎疾患の治療が必要
  • 稀に腫瘍が潜在する可能性もある

以上のようにまとめられると思います。

 

 

 

 

多血症は二次性の場合が多いです。

つまり、基礎疾患が存在すると疑うべきです。

 

多血症と呼べるほどの

濃い血液に遭遇することは少ないですが、

「ちょっと濃いめ」と言う子は多くいます。

 

 

 

 

判断基準としては、

PCV(血液の中の赤血球の割合)が

  • 50%台;そんなに気になりません
  • 60%台;二次性を疑って検査
  • 70%台;真性も疑いつつ検査

これらに加え、

他の臨床症状が無いかを

踏まえつつ、考えていきます。

 

 

 

 

以上となります。

いかがでしたか?

ご参考になれば幸いです。

 

 

次回更新は、1月25日(水)予定です。

 

 

 
 
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