みなさんは、物語、ストーリーと聞いてどんなものを思い浮かべるでしょうか。
私は、指輪物語だったりDQのような主人公が苦難や試練を乗り越えて旅をするような話を思い浮かべます。
桃太郎や、シンデレラのような童話だったり、水戸黄門や大岡越前のような話を思い浮かべる方もいるでしょう。
では、ログイン型ゲームのストーリーと言われると、どんなものを思い浮かべるでしょうか。
もしあなたがゲーム好きで、やったことがあるならば、TRPGの思い出だったり、オンラインゲームのものになってくるかと思います。
やっていなければ童話や時代劇、小説のような物語とは違うのか?といった疑問がわいたかもしれません。
昨今のオンラインゲームではあらかじめ決められたパーツを用いて自分の分身であるキャラクターを自分好みに作り出すシステムが多く採用されています。
キャラクターが出来上がったら、いよいよゲームの世界へと旅立ちます。
チュートリアルで操作を学んだり、ストーリーモードで操作を練習することになります。
チュートリアルやストーリーが終ればいよいよスタートラインです。
武器や道具を得たり難敵に打ち勝つ為にキャラクターをレベルアップして強くしたり、珍しいアイテムを目指して敵を討伐したりします。
このオンラインゲームのストーリーですが本当に必要でしょうか。というおはなしです。
特に耳にしたり見たものでは、自分のメイクしたPCが主人公だと思っていたら、
ストーリー上に登場するノンプレイヤーキャラクターが自分の分身であるプレイヤーキャラクターの活躍を奪い、その物語の真の主人公になってしまいがちです。
では、PSO2のEP4を例に挙げたいと思います。まずはPSO2のEP4一章の流れをお伝えします。
2年のコールドスリープから目覚めた主人公、PSO2のプレイヤーキャラクター「守護輝士」は怪しいヤツがいるとの事で、司令官の計らいで見張りのためにこの怪しいヤツ、ヒツギと一緒に探索に出かけます。
その最中、黒いもやにうかつにも近づいた怪しいヤツ、ヒツギ。もやに包まれて身動きがとれずなにやら危険な様子です。
このモヤを主人公サイドは知っています。シリーズのラスボス、ダークファルスです。怪しいヤツ、ヒツギが取り込まれようとしているとき。
守護輝士はその能力を使い怪しいヤツヒツギを救おうとします。動けるようになった怪しいヤツ、ヒツギはメニューを開いてログアウトします。
次の瞬間パソコンを前にした少女ヤサカヒツギはあれは一体なんだったのかと不安に駆られます、そして驚くことに自分のアバターそっくりの裸の男の子がベッドで寝ていました。ヤサカヒツギは男の子と二、三言葉を交わします。
直後、なぞの化け物が現れて恐怖しているところへ、パソコンから、守護輝士が飛び出し、化け物を退治します。
一通り退治し終えて、守護輝士はアークスシップに戻ります。
ひとまずここまでで一章が終わり。これが主人公とヤサカヒツギの出会いです。
主人公の動きとしては、スリープからの目覚め。怪しいヤツの見張り。
よくわからない能力でヒツギを助けようとしたこと。パソコンから飛び出し化け物退治。
まだ話の中心はプレイヤーキャラクターにあると思えます。
ではEP4の世界とヤサカヒツギについてです。
場所は現代とは似て非なる地球の日本。エーテル粒子を用いたエーテル通信と呼ばれる通信技術が発達していて各所にエスカタワーと呼ばれるエーテルを散布する塔が建てられています。
この地球では、ほぼ全てのパソコン端末にPSO2がプリインストールされている世界で、PSO2が国民的オンラインゲームになっています。
天星学園に通う女子高生のヤサカヒツギはPSO2にログインします。ヤサカヒツギには特殊な能力があり、アバターにフルダイブしてゲームをおこなうことができます。
この能力を持っている者は他にも沢山いるようです。ヤサカヒツギはマザークラスタという組織の人間でPSO2にログインしてバグチェックをしています。
この世界ではオンラインゲーム「PSO2」の世界とヤサカヒツギの存在する現実世界とは「別次元」という位置関係にあります。
一部の特殊能力を持った人間は、PSO2へログインすることで別次元(オラクル)へと渡ることができます。
ヤサカヒツギをはじめ、現実世界の住人はPSO2の世界のことをゲームのなかの出来事としか思っていません。自分が別次元へ飛んでいるとは夢にも思っていないのです。
フルダイブ能力には段階があり、PSO2にフルダイブできるのが第一で、発展することにより現実世界において、エーテルを用いて自身の思った武器を具現化することができるようになります。
PSO2EP4二章からはヤサカヒツギの取り巻きや周りで起きることが話の中心になります。ヤサカヒツギの日常や苦悩を描き、苦悩の打破、答えとして救われないものへの救い。
敵の親玉であるマザーが救われたかと思いきや一転、味方だと思っていた者が実は敵で、もっと強大な相手に挑むことになる。
小説、脚本としての物語の流れや作りとしては良いのですが。
苦悩やその解決を行っているのはプレイヤーキャラクターではなく、ヤサカヒツギに他なりません。
この物語の主人公はヤサカヒツギであり、プレイヤーキャラクターは目撃者またはカメラマンでしかないといえます。
目撃者では悪いのかということについてですがそうとは言えません。
旧作のPSOでは、プレイヤーは各所に置かれたメッセージパックによりストーリーの核を知ることができます。
メッセージパックを残した人物の足跡を辿ることで、謎が明かされていき、そして最終的に真実の「目撃者」となり、
ダンジョンの最深部に存在するボス、ダークファルスを打倒します。
旧作のPSOのキャッチコピーは「英雄は、ひとりじゃない」です。
言葉通り誰もが謎に対する真実を目の当たりにして、ラスボス、ダークファルスを打倒して英雄になることができます。
「プレイヤーキャラクター目撃者問題」を逆手に取った物語だと思います。
確かに苦悩しているのは、パックを残したリコ・タイレルではありますが、物語の冒頭で総督からの願いを受けて探しに行くのが目的なので、
リコは今いったいどうなっているのか?ダンジョンの最深部には何が待ち受けているのか?リコは無事なのか?といった疑問が次々にわいてきます。
物語の当事者はあくまで自分であり、ハンターズであるプレイヤーキャラクターをプレイヤーはロールすることができます。
しかし、PSO2EP4の目撃者ではどうでしょうか。
ただただ、自分ではない誰か、ヤサカヒツギの物語を選択も無く、見守るだけです。
当然物語の当事者にはなれません。ちょっとした手助けをするくらいです。
ドラクエ5で例えるなら、パパスがゲマによって殺されず、全て解決してしまうようなものです。
何故こういったことがおきるのか。
それについては作者の技量不足だからとはいえません。土台無理な話なのです。または知識、経験不足です。
プレイヤー個々人が、キャラクターをメイクするわけですから、年齢や性別、外見。特にPSO2なら種族もあります。設定も千差万別。
プレイヤーキャラクターをメインに話を作ろうとすると、NPCになんて呼ばせるかなどの無理が生じてきます。
PSO2では15、6の少年に相棒!などと呼ばれますが、歴戦の老人を作ったりしても、変わらず相棒と呼ばれ、酷く滑稽です。
PSOシリーズのウリとしては、ドラクエのような直接的な物語を追うことよりも、レアアイテムを探したり、
レベルを上げて強くなったキャラクターで難敵に挑み、討伐の速さを競ったりすることになってくるかと思います。
この場合、当事者になるような直接的な物語は必ずしも必要ではないと言えないでしょうか。
PSO2で言うなら本筋として「どういう世界観(バックボーン)で、なぜ惑星に降り立つのか、なぜエネミーをやっつけるのか。なぜエネミーが出現するのか。」などが説明されていれば良いのではないでしょうか。
当然、商売ですからノンプレイヤーキャラクターをストーリー上で魅力的に見せてグッズ展開を考えることでしょう。
そうであるなら、PSシリーズはSFなので、過去に起きた伝説の追体験といった形であったり、クエストという形で本筋とは離れたサイドストーリーを展開すれば良いだけの話です。
もし物語が必要であるならプレイヤー自身が当事者でなければなりません。忘れていませんか?RPG(ロールプレイングゲーム)ですよ。
プレイヤー自身がキャラクターに自己を投影して悩んで選択をして、発見したりするからRPGなのではないでしょうか。
プレイヤー側の問題もあります。
なぜプレイヤーキャラクターは現実世界の自分の状態で喋るのでしょうか。ロールプレイ、恥ずかしいですか?
とはいえ、運営の側で用意されたストーリーが選択の幅のないようなものではロールプレイのしようがありません。
ましてや、悪の力を得てダークヒーロー!だったり、別の時間軸とはいえプレイヤーの作ったキャラクターを悪堕ちさせたり。
そういったことはロールプレイに差し障るので本来なら考えてもしないかと思います。
実装するにしても、選択の幅を設けるもの(バッドエンドルート等あくまでif...としてだったり)。それがRPGというジャンルのはずです。
オンゲプレイヤーなら「ストーリーもなしにどうやって新しいレイドボス出すの?」と疑問に思われるかもしれません。
・機関による実験の事故で新たなボスが生み出されてしまった。
・惑星探査中、その惑星に眠る、なにものかの封印を解いてしまった。
・突如、飛来してきた正体不明と戦う事に…。
これについては思うがままに考えられると思います。こういった後から後から追加されるゲームでは先にちょろっと話にあがった世界観(バックボーン)が重要です。
世界の、舞台さえ用意できれば、端々のストーリーは後からいくらでも追加したり、それこそプレイヤーが考えたりすることができます。
その舞台の設定、装置がもしあるとするなら、しっかりとプレイヤーに伝えなければいけません。作者の頭の中だけでは意味がありませんから。
昨今のゲームクリエイター特に脚本家は一概には言えませんが、ゲームやアニメ、ノベルが好きでその業界に入ったのではないかと思います。
自分が知っている物語、ストーリーはこういうものだ!
自分が好きだったものを自分が作りたい!
そういった凝り固まった古い思考を持ってしまっているのではないでしょうか。
今まさにゲーム作りに携わっている方がとてもうらやましいです。
少し考え方を変えるだけで、もっと、もーっと面白いゲームが作れて形になるからです。
おわり。
