「和!カズ!!」
「おかえり翔ちゃんっ…何?!」
帰ってくるなり、すぐに翔ちゃんは
ワタシを強めに 抱き竦めた。
「…どしたの?」
「無性に…和に会いたくなって…。」
「…あら。」
翔ちゃんな割に、可愛い事を言うんだ?
よくよく話を聞いていると
このごろあちこちである災害に
自分を置き換えて想像したらしいんだけど、
その度何故か犠牲になるのがワタシで。
それで、勝手にワタシと会えなくなるとか
考えた末の、今らしいの。
「和が 大雨で店から出られなくなって…とか考えたら 辛すぎて…さ。」
「でも翔ちゃんが助けてくれるんでしょ?」
「そりゃあ勿論。」
「じゃあ大丈夫だよ。」
「カズーぅ…」
腕の力がいい具合に抜けて
ギュッと抱きしめ られる。
「何があっても守ってやるからな」
そう言って。
真顔の翔ちゃんは、凄くカッコイイ…。
のに。
翔ちゃんの手が、ワタシの腰を
撫で ていて、全部の説得力を 無くしていた。
ベッドに 果てて 転がってる
ワタシ に 軽く キス を して
翔ちゃんは バスルームへと向かう。
きっと、どんな災害にあっても
翔ちゃんが 助けに来てくれそう。
うん、きっと。
必死でワタシを探すんでしょうね。
ワタシは…そうだな。
危ない目にあわなければいい
翔ちゃんが。
ワタシがどうなっても。
あ、でも。
ワタシがどうかなったら、翔ちゃんが
凄く悲しむだろうから
ワタシも無事でいないとね。
明日…防災グッズでも揃えようかな。
それだけでどうにかなるわけじゃないけど。
誰かのために、なんてのも悪くないな。
なんて。
「カズ? 風呂いこ?」
「…ん。」
迎えに来た翔ちゃんの 首に
しがみつき、この 手を離さないように
って、心に 誓った。
~おしまい~
・*:..。o♬*゚・*:..。o♬*゚・*:..。o♬*゚・*:..。o♬*゚
悲しいお話ばかりじゃない。
きっと、平成最後の1年も
楽しかった、幸せだったと
1人でも多くの人が思えますように。