「珍しいな、櫻井。昨日飲みすぎた?」

「いえ…すいません。」




滑り込みで間に合ったものの
滑り込みすぎて、逆に目立った。



ニノは 俺には構わず
自分の仕事を しているようで。



…まぁ、ね。
間に合ってて良かった。
それでこそ、ニノだけど。









「…お昼だよ。」
顔を上げると、ニノ。




「え?あ、うん。…と。」

「終わんないの?」

「…終わる。…あ、メシ行く?」

「ん。」




…珍しすぎて、コッチの
心臓が バクバクしてるんだけど。





「びっくりした。」

「なんで?」

「ニノが昼誘ってくんの、初めてじゃん。」

「…そ?」

「そうだよ。すっげえ…ドキドキした。」

「…なんでよ」



ニノは笑ってるけど
俺は、好きな子に 声かけられて
ドキドキした感じを思い出していた。




「櫻井って、二宮君と仲良かったんだ?」




女性の同期に話しかけられた。



「…そうだね。仲いいよ。」

「何か…妖しげで いいよ。傍から見ると。」

「…ま、そういう関係だから仕方ないよね?」

「やだーもー。」

「…先輩?嫌なら…退けて貰えます?」




俺らの会話を聞いてたニノが
後から俺に 抱きついた。



「やだー、ごめんね、そういう関係ー?」



笑いながら…ちょっと引いて
その女はいなくなったけど。



「ニノ…? 」

「…何か…やだった。」

「何が?」

「翔ちゃんが… 女と喋ってんの。」




…場所を弁えたから良いけど。
本能のまま動いたら…
俺はここで、ニノを 抱きしめてたかもしれない。