世の中がオイルショックや第二次ベビーブームと言われる時代に私は生まれた。
雪が深い北国の人口10万人ほどの小さな街だ。

生まれてまもない頃のことは、小学生の頃までは自分が赤ちゃんの頃どんな子だったかを聞くことがあった。
しかし、年齢を重ねるにつれ、赤ちゃんの頃の自分に興味を持つことはなくなり、たまに写真でしか見ることができなくなった。

俺がまだ母のお腹にいる頃、実は生まれずに死にかけていたという話を聞いたことがある。
記憶は曖昧だが、母が俺を出産するために病院に入院したとき、破水していたことに誰も気づかず時間が経ってしまった。
それを発見した祖母が病院の先生に伝え、緊急帝王切開で俺は生まれたということだ。

すでに亡くなってしまったが、その祖母のことを命の恩人だとよく聞かされていた。

「ブラッシュアップライフ」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」など、過去に戻って人生をやり直すドラマや映画は数多くある。
もし私にもそのチャンスが巡ってきて、人生をやり直せるなら、母親のお腹で破水して発見されずに生まれてこなかったことを選ぶのも一つの手かもしれないと思う。