もう既に投資信託は証券会社のみならならず、都銀、第二地銀、ゆうちょ、信金…金融機関に満遍なく取り扱い商品になっています。何しろ超低金利にも関わらず、運用先に困っています。オカネが余っていて借り手がいない、というより、金融機関側が満足の行くだけの融資条件を備えた借り手がいない、という方が正確ですね。与信業務の厳格化、故に地元経済に密着した筈の信金でも、日本国債を運用対象にしています。

 そこで出てきたのが、この投資信託です。何しろ購入手数料、2%でも4%でも販売会社が徴収できるわけですから、これ程、美味しい業務はありません。一般顧客も超低金利に飽き飽きしています。都銀の三年以内のものの年利は0.025%かそんなものです。まあ、デフレの侭ですから消費者物価分、実質金利はそれに上乗せされますが。

 ただ、それでも大口の法人顧客は離れて来ています。それ故に小口の個人顧客が今は業務展開の対象です。ただ、この投資信託、日本の顧客の運用期間、平均2,6年と短いですね。次から次へと金融機関が買い替えさせる事に依るのですが、そもそも投信は中長期運用により安定した資産形成を目的にした金融商品でした。ですが、その時価となる基準価格が守れません。次から次へと新商品が経済状況の変遷に併せて開発されますけど、開発された新商品が絶えず変貌を遂げる経済状況に対応出来なくなる、基準価格は常に変動します。ですが分配金はほほ一定しています。これが曲者で、欧米の投資信託でしたら運用益が出なければ分配金は出しません。ですが、特別分配金制度と言うのがあって、運用益が出なければ元本取り崩しにより分配金を賄います。特に日本の投信は、毎月分配型が主流です。顧客としては給料や年金の感覚なんですね。基準価格×口数=純資産額です。この基準価格の動きが資産額を決定します。その中で配当金の高低などたいした意味は持ちません。無配当でも純資産額さえ増えるなら構わない、と割り切った顧客が少ないんですね。特別配当金を幾ら毎月貰っても一口あたりの純資産額、即ち基準価格が減少すれば個々の純資産額は減少します。これは分配金の比ではないですね。特に毎月の分配金の為に純資産額を取り崩す、こうなると資産運用に支障を来たします。

先日の投資信託法の改正の動き、これは分配金を現行の一般分配金に限るものです。収益が出せなれば分配金は出せない、これでは高分配金を誇るような投信、出せませんね。ただ、これは来年の通常国会に提出なんですね。今までのような収益モデルは望めなくなる筈ですけど、それでも毎月分配型が依然として日本の投信の主流なんでしょうかねえ。