昨夜も風が静かに吹き、部屋の中に一瞬、奇妙な気配が漂った。
特別何があったわけではないのに、背筋がふと寒くなる瞬間があった。
その感じは、言葉では表現しづらい。誰かがすぐそばにいるような、目には見えないけれど確かに感じられる存在。
幽霊というものを信じているからかもしれないが、時折、そうした瞬間に心が揺れることがある。
物音一つしない夜更け、窓の隙間から冷たい風が入り込むと、過去にこの場所でどんな出来事があったのだろうかと考えてしまう。
目に見えない存在が今もここにいるのではないかと。
科学的には証明できないことでも、感覚的には信じざるを得ない瞬間がある。
その理由の一つに、祖父が亡くなった時のことを思い出す。あの時、叔父の時計が、まさに祖父が亡くなった時間で止まっていた。
あまりに偶然すぎて、ただの偶然と片付けることはできなかった。それ以来、幽霊や見えない存在に対する思いは強まった気がする。
幽霊がいるという考えは、ただの怖い話として片付けるにはあまりにもリアルだ。
時々、自分が感じるものは、もしかしたら過去に生きていた人たちの思い残した感情が、まだこの世に漂っているのではないかと思うこともある。
静かな夜に、その存在を感じながら、自分もまたいつか誰かの思い出の一部になるのだろうかと、考えずにはいられない。
幽霊を信じることは、どこかで自分自身の未来を信じることでもあるのかもしれない。