科学鑑定の勧めとお得意様へお知らせ | 和同開珎ー皇朝銭専科のブログ

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真贋見極めについて、
皇朝銭の真贋見極めだが、科学に頼っていなかった昔はとにかく見た目、、それも第一印象を大切にしていた。
コインでは権威といわれている日本貨幣商協同組合では現在でもこの感覚、、を非常に重要視しており実際に行われている鑑定会議は複数名の鑑定員の感性に委ねられている。

皇朝銭収集家として有名な 刀禰武夫氏も、コイン専門誌として有名な雑誌の中で次のように記している。
休日のいっとき、白い紙、黒い墨の色で拓本を打っていると、ふと暗い影が銭面に浮かぶことがある。銭を手に採って見る、背面を見ると、どことなく不自然だ、どこかが、何かが違う、穿穴を細かに視る、これで落第銭である。どこかが、何かがというところが大切なところでしょう。
1979年11月号月刊ボナンザ より抜粋(原文のまま)
確かにこの感覚、、は皇朝銭を見てゆく中で極めて重要なポイントであることは否定いたしません。
しかし戦前や、戦後間もない時代ならいざしらず、これだけ科学が進歩し、たくさんの情報が揃った現代において,この見た目から受ける、どことなく、、という印象だけで真贋判定を行うことがはたして正しいことなのでしょうか?
実際に見た目も本物、鑑定書もついた絶対、、と思っている貨幣を科学の目で分析してみる。。
すると分析の結果、成分は銅と鉛に少量の錫だけで出来ていることがある。。
確かに皇朝銭は銅、鉛、錫の合金であり一見何ら矛盾はみあたらない。
主要成分の比率が近ければ当然見た目は本物と同じになる。
だが、1000年以上昔の金属精製技術がはたしてどの程度のものであったか?
99.9%以上の高純度精製が当たり前の現代とちがいせいぜい95%程度までが限界では?
当然材料である金属の純度が低いのであれば鋳上がった貨幣にもそれ相応の不純物が含有されているはずである。
また、現代では簡単に精製、合成できる材質でも自然界には存在しないものもある。
ここにサイズ、銭文など形状的に全く同じ2銭があったといたします。
片方は雰囲気も完璧、誰が見ても本物だろうといわれているもの、、
もう一方はなんとなく雰囲気がよくない。。どこが・・・と言われるとはっきりは言えない。結局鑑定書などの取れないものである、、
この二銭を科学の目で見てみる。。
絶対と思っていた貨幣を化学分析した結果、不純物を一切含まない、またはその比率に不自然な部分がみられたり、当時合成不可能であったはずの成分が検出されたとしたらどうでしょう?
逆もまたしかり、、です
見た目では贋物か?という印象を受けたものでも実際に分析を進めてみると明らかに現代金属ではないっということが多々あります。  もちろん当時の私鋳銭などといったものの存在がありますので成分だけで絶対的な確証は得られませんが、、、
これらのものも顕微鏡などで精査してみるとやはり現代鋳造品では絶対にまねの出来ない特徴があります。
そのようなもので第一印象が良くないのにはそれなりの理由が必ずあります。修正であったり、クリーニングの悪さであったり、、しかし科学的に検査をしてゆくと間違いなくこれらは本物なのです。
直感だけに頼った鑑定の場合前者は本物、後者は贋物として誤った判断が下されるわけです。
当時の金属を使用し贋物を鋳造したらどうか?
当時と同じ環境、同じ道具、同じ製法で作ればそれはほぼ同等のものに仕上がるでしょう。。
しかし現代の鋳造設備を使って鋳造した場合、全く違った仕上がりになってしまいます。
これはどのような高度な技術を使っても同じことです。
もちろん仮に全く同等のものに仕上がったといたしましても、1000年以上の年月をかけなければ再現の出来ない金属内部の変化もありますので、このようにして作られた贋物は1000年後には本物として扱われることになるかもしれませんが、やはり科学の目を欺くことは不可能なのです。
当方では実際に皇朝銭をスライスし内部検査をしてみましたこちらで写真つきでご紹介していますのでご覧ください。

明らかに江戸期の鋳造貨幣との違いがお分かりいただけると思います。
当然近代鋳造の贋物でしたらどんなに外観を粗雑に作ったとしても内部まではごまかしきれません。
当方では現在、見た目だけの判断に頼ることなく全品に対し、顕微鏡検視と簡易的にではございますが、蛍光X線によります成分チェックを行っております。
もちろん細部の計測や実際に拓本をとり照合を行うなど従来の目視検査も行っております。
その上で、どこか1点でも疑問点や矛盾点があった個体は皆様にはご紹介いたしておりません。

皇朝銭は高価なものです。
100万円を超える種も多数存在し、中には1000万円を越すものさえございます。
そのような高価なものをコレクションいただくのですから、見た目だけでの判断といった無責任な行為は断じて避けるべきであると考えております。
ただ当然のことながらいかに化学検査といっても検査方法や、そのときのチェックポイントによっては全く違った結果になることもございます。
ですので一度販売いたしました貨幣につきましては万一疑問が生じましたときは改めて精査させていただき、その上で万一ほんのわずかでも疑問点や疑わしい点が発見されましたらご購入の時期にかかわらず、いつでも全額の補償をさせていただきます。
平成12年7月以前に販売いたしました全ての皇朝銭につきましては、ロット毎の抽出検査のみで全品に対する成分チェックを実施いたしていなかったり、検査方法が現在と違いチェックポイントも少なかったため見落としなどがある可能性がございますので、ご希望の方はご送付いただけましたら無償にて再鑑定をさせていただきます。
ただ申し訳ございませんが、それぞれ往復の送料はご負担ください。
この再検査につきましては今後期間を設けず実施させていただきます。
過去にお取引をいただきました全てのお客様を対象といたしておりますので、このお知らせに気がついた時点でお申し付けくださればその都度対応させていただきます。
当方では皆様に安心してコレクションしていただけますよう、今後も日々努力してまいります。