西新宿の三番街にステーキの老舗「パンドラ」がある。私が最初に訪れたのはもう二十五年も前である。私は当時、この周辺の職場で働いていて、たまに自分へのご褒美としてステーキを食べるのが楽しみだった。移り変わりの激しい西新宿にあって、以前と変わらず、営業を続けている。常連客に愛されている証だろう。非常に有難いと思いながら、久々にランチをいただいた。

私の小説「モンマルトルの丘」の中でも出てくる店の一つで、主人公ユウイチが、オザキレイコを誘ってゴッホのひまわりを見に行く前に立ち寄るステーキ店である。余談だが、新宿の東郷青児美術館には本物のゴッホのひまわりの一枚がある。美術館デートの前のランチに行くなら最高のシチュエーションだ。

店内は案外広くて、シェフが肉を焼くのを間近で見ることができるカウンターと、落ち着いたテーブル席。夜はまあまあ金額が張るので、初めはランチが良いかもしれない。これは私からの余計なアドバイスかもしれないが、パンドラステーキ定食とスペシャルステーキ定食のどちらかを選ぶなら、私はスペシャルステーキ定食の方が満足度が高い。

ステーキのアップ!

スペシャルステーキ定食1,450円。ランチにしては少し高いと思うかもしれないが、そこはデートや、自分へのご褒美ということで。これは間違いなく美味い。1,450円以上の価値は絶対にありますから、騙されたと思って笑。これよりちょっとだけ安いパンドラステーキ定食というのがあるんだけど、1,200円だったかな? 今も同じかどうか最近食べてないので何とも言えないが、若い頃は少しでも安くと思って、こちらを食べていた。しかし、250円の差は、実は凄かったという話。しばらく経ってから気付いたんだな、これが。でも、好みは人それぞれだから。基本的にどちらも美味い。私のお気に入りのステーキ屋さんです。