浅田太郎の妄想小説

浅田太郎の妄想小説

小説 “破滅への道”

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『今日はなんだよ?今更、俺みたいな燻りに用はないだろう?』


引き籠り生活を続けているが本来、人と接するのが好きなほうである。


せっかく訪ねてきた、部下に感謝したいところであったが、高級なスーツにロールスロイスで参上した安田に対し、俺は1年着続けているヨレヨレのランニングにポジャマのズボン姿である。


昔っから服装に拘らないが、それは“いつでも買える”余裕があったからである。


真紀子にも裏切られ、すっかり疑心暗鬼になっていた俺は、急成長を遂げている安田の訪問を鬱陶しく思っていた。


『いつものように姐さんが、様子を見て来いっていうものですから』


『あのババア、まだ彼氏できないの?』


同じく、20数年来の腐れ縁の美和の事も、信用出来なくなっていた。


『人は落ち目の時は、誰もついてこない』


弱り目に祟り目。ヤクザ時代に、嫌というほど目のあたりにしてきた現実である。


『なにを言ってるんですか?ボス。こんな処にいるから気がおかしくなるんですよ!どんなに落ち込んでも、ボスはボス。自分たちにはなくってはならない存在なんですから。姐さんも“首に縄つけても連れ帰ってこい!”って言ってるんですから、このまま姐さんの処へ帰りましょうよ!』


『今更、どのツラして美和の処へ行くんだよ。みっともないだろ…』


と言いかけたところ、安田はムキになって吠えた


『こんな処にいるほうが、みっともないですよ!』


とにかく、一度でいいから現在の自分の関係者たちと会ってください。


ヤクザとか関係なく、俺が堅気社会で通用出来るような手配や協力はしてくれるブレーンがある。


新着冷静な安田にしては、珍しく熱弁して俺が美和の元へ帰ることや、再度起業するよう説得していた。


引き籠りのせいか、考えた方が消極的になるばかりである。


真紀子への借金だけ返済できれば、誰も知らないところで、独りで和花に過ごすことだけが、唯一の希望であった。


数カ月に一度なんとか“元”のように、恥ずかしくないような生活環境へ戻るよう根回ししてくれる安田に対し感謝しながらも、俺は何にも興味をもたない抜け殻のようであった。



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今後、コチラの小説は、下記サイトで連載します。


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@トーク

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『山中さん。そろそろ私もお店の事とか、先々の事を考えたいので、別々に住まない?』


俺の唯一の憩いの場所の会社が、敵意を抱く者たちへバレてしまったので、危機感を抱いた俺は、真紀子の3LDKのマンションに引き籠っていた。


無論、以前に増して無収入状態である。


さすがに、気まずいので、言われなくっても何処かへ行ってしまいたかったが、真紀子からの借金が心残りであった。


引き籠りの特性上、誰にも会いたくないので、真紀子の書斎を占拠し、PCで就職先を模索する傍ら、打開策を考える。


今まで、同様な窮地は嫌というほど経験して、『今回はダメだな?』と思うことも多々あったが、“どうにか”なってきた。


だから、今回も人生諦めずにいれば…


と、考えていたのである。


だが、居候先の主。真紀子は対照的に、経営するスナックが軌道へ乗り、水商売特有の客からの“オダテ”にすっかり舞い上がっていた。


日々、要するにお客から、『美人だよ』、『素敵だよ』というおべんちゃらを真に受けたのである。


『私は、こんな燻りじゃなくって、もっと社会的に地位のある男性と幸せになれるかも?』


すっかり、“その気になった”真紀子は、自宅にいる無職の俺が、鬱陶しく目障りであった。


会社に通勤しなくなった、俺に対し始めは遠回しに出ていくよう促すが、酔っぱらって帰ってくると

罵倒する日々が続くのであるが時折、


『やっぱ、私には山中さんしかいないよ!奥さんトコ帰ったら、嫌がらせしてなるから!もう大好き!チュッチュドキドキ


と、昔のようなキスの洗礼が始まるのである。


『こんなメンドクサイ女だとは…』


後悔する日々だが、後戻りもできるわけなく、なんとかこの場を乗り切るしか道はなかった。


そんな、引き籠り生活を起こっている中、ヤクザ業界では大惨事が起こった。


九州道仁会の3代目大中義久会長射殺事件である。


道仁会では即時、熊本県で対立する誠道会系幹部を狙撃するのであるが、その後も時をおかず道仁会大平組組長の射殺事件が起きる。


荒れくれ者が集まる九州地区でも、最大の戦闘力を持つ道仁会のトップと系列組長射殺事件は、ヤクザや関係者であれば抗争のさらに拡大することが誰でも予知できた。


射殺された2名の親分は、道仁会2代目会長である松尾誠次郎会長の養子だからである。



『ボス!ご無沙汰をしております!お元気ですか?』


激動するヤクザ社会とは、無関係にボンヤリ引き籠っている俺の元へ、懐かしい顔が訪ねてきた。


20数年来の部下で、闇金融を手広く手掛ける安田である。


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皆様ご無沙汰をしてます!


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『美人ママって言われる私が、貧乏人のアンタと一緒だと恥ずかしんだよ!早く奥さんとこでも、どこでも出て行ってよ!』