新しくフレームを購入しました。
LOOK 595(BLACK, XS, '07)です。
メ○カリで5万でお釣りがくるくらいの値段で購入しました。
LOOK 595といえば、やはり名車だと思います。
『弱虫ペダル』の真波くんの影響もあるでしょうし、
フォークとヘッドチューブ、そしてシートチューブに入った
大きなLOOKのロゴが生む、
独特な美しさもあるでしょう。
フレームでも10万円はする595が、なぜ破格で手に入ったか?
その理由は、見てのとおり、クソ短いコラムです。
コラム残長が40mmも残っていません。
また、コラムが一部えぐれています。
コラムのえぐれはパテで埋めました。
足りないコラム長は、極薄ダストカバーで解消しました。
しかし、
ガタは出るわ
埋めたはずのコラムが再度えぐれているわ
で、この謎の解決に4か月苦しみました。
ということで、今回は以下の見出しで記述したいと思います。
- ヘッドの規格と構造
-
ヘッドのガタとその要因
-
えぐれたヘッドの謎を考える
-
限界コラムカットは諸悪の根源
― ヘッドの規格と構造について ―
ヘッドの規格:ISとZS
まず、フレームについているヘッドパーツの規格について考えます。
今回は、コラム外径が1-1/8インチのアヘッドステムについて記述します。
IS、ZSの断面図の比較を示します。
ZSは「ゼロスタック(Zero Stack)」と呼ばれ、
フレーム側にベアリングの受けとなるワンを圧入するタイプです。
一方、ISは「インテグラル(Integral)」と呼ばれ、
フレーム側に直接ベアリングを置くタイプで、
フレームには「ワン」に該当する受けとなる造形が存在します。
フレームがどちらのタイプかは、ヘッドのダストカバーの外径で判断することができます。
ISとZS、それぞれのダストカバーを並べてみると、
-
外径が小さいほうがIS用
-
外径が大きいほうがZS用
となります。
TANGEのIS22SLのダストカバーの寸法は、
IS22SL
外径:約44.50mm
厚み:約1.05mm
TANGEのZS22SLのダストカバーは、
ZS22SL
外径:約50.05mm
厚み:約1.85mm
製品により外径の差はあるでしょうが、
ISとZSで大小の逆転はありえません。
また、ワンの有無でも判断できます。
ZSの場合、フレームとフォークの間にワンが見えます。
ISの場合はワンが存在しません。
ガタがとれる仕組みを考える
次に、ガタが取れる仕組みについて考えてみます。
今回、595はISですので、ISで説明します。
ZSとワンの有無は異なりますが、それを除けば考え方は同じです。
よく言われるのが、
「先にトップキャップのネジを締めてガタを取る」
という方法です。
では、その工程でヘッドパーツがどのように働いているかを考えてみます。
よく「引き上げる」と言いますが、
ネジを締め込むと、
押し込まれる:トップキャップ、スペーサー、ステム、ダストカバー、コンプレッションリング
引き上げられる:フォーク、アンカー
という状態になります。
結果、部品同士の隙間が埋まり、鉛直方向のガタが解消されます。
水平方向のガタ取りには、コンプレッションリングが主に働きます。
水平方向のガタは、ベアリングとコラムの間に隙間が生じることによって発生します。
その隙間を埋めるのが、コンプレッションリングの役割です。
コンプレッションリングは、よく見ると円錐形状になっており、また割りがあります。
ベアリング内輪とコラム外周の隙間に入ることで、
押し込まれるほどにベアリングと接触する径が大きくなり、
隙間を埋めていきます。
つまり、コラムがベアリングの中心に誘導され、
水平方向のガタが解消されるという仕組みです。
すなわち、きちんとトップキャップから締めているのにガタが消えない場合、
-
ヘッドパーツの上下の隙間を埋められていない
-
コンプレッションリングが正しく押されていない
といういずれかの原因があると考えるべきです。
① コラムスペーサーが足りていない
コラムスペーサーが足りないと、トップキャップが各部品を押しきれません。
絶妙にスペーサーが足りないと、気づきにくい状況が生じます。
トップキャップが締めきっている=コラム末端にトップキャップ下端が接触している、
という状態になります。
略図にすると以下のような形です。
トップキャップを常識のトルクで締められない範囲まで回し、
一度ステムのネジを締めて、再度トップキャップを外したとき、
ステム端面またはスペーサーの端面から、
コラムの端面またはアンカーの端面までの距離が、
トップキャップの“山”の高さより短い場合、
明らかにスペーサーが足りていません。足す必要があります。
これが、ビアンキなどが
「ステムの上にスペーサーを5mmは積め」
と啓蒙している理由です。
② プレッシャーアンカーが滑っている
トップキャップを締め込む「雄ネジ」を受けるには、
コラム内部に「雌ネジ」が必要です。
その役割を担うのが、
-
プレッシャーアンカープラグ
-
スターファングルナット
のどちらかになります。
アルミコラムならどちらでも問題ありませんが、
カーボンコラムではプレッシャーアンカー一択です。
このアンカーの端面が浮いている、あるいはネジが緩んでいる場合、
トップキャップが正しく締められず、ガタが生じます。
浮いているアンカーの例
③ コンプレッションリングを押せていない
コンプレッションリングが押されることで、
コラムとベアリング内筒の隙間が埋まると先に述べました。
では、それが押されていない状況とはどういう状態でしょうか。
それは、ダストカバーがフレームと接触している場合です。
TANGEのSL系やウッドマンの付属する、薄いコンプレッションリングの場合、
ベアリング端面よりリングの端面が低くなる場合があります。
この場合、ダストカバー端面がフレームと接触し、
コンプレッションリングが押されない状況が発生します。
外観ではわかりにくいですが、接触しています。
略図にすると、次のような形です。
①ダストカバーのヌスミの深さに対し、コンプレッションリングの高さが低い
②すなわちダストカバーがコンプレッションリングを押せない
③限界まで締め上げたときに、フレームとダストカバーが接触する
順序立てをするとこのような感じでしょうか。
その解決策として、コンプレッションリングとダストカバーの隙間に
マイクロスペーサーを挿入する方法があります。
0.25mm厚の鉄製の薄板を円筒上に切り出したようなもので、
なぜか「TH INDUSTRIES」と刻印されたものしか見かけません。
私の595では、0.25mmを2枚=0.50mmのスペーサーを入れることで、
フレームとダストカバーの接触が解消されました。
略図にすると次の通りです。
※便宜上、マイクロスペーサーを赤にしました。
ダストカバーがコンプレッションリングを押せるようになりました。
これらの問題を理解し、解決できれば、
大抵のコラムのガタは消せます。
ーコラムがえぐれた原因を考えるー
さて、コラムがえぐれた原因を考えてみましょう。
えぐれた位置は、コンプレッションリングが入る位置と合致しています。
いきなり答えですが、以下のフローが原因だと思います。
-
通常のダストカバーが使えないほど、コラムを短く切ってしまう
-
通常のダストカバーが使えず、
TANGEのIS22SLの極薄ダストカバーと低ハイトのコンプレッションリングを使用
-
ベアリング内径とコラム外径に対し、
コンプレッションリングの径が合っていない
-
コンプレッションリングが押され、
最も表面硬度が低いカーボンのコラムが削られる
-
IS22SLのダストカバーは薄くて柔らかいため、
反ってコンプレッションリングが押しきれない
-
マイクロスペーサーが足りず、フレームとダストカバーが接触。
⇒ガタが生じる
-
その状態で走行し、ブレーキや路面の振動で部品が遊ぶ
→コラムが徐々に削れてえぐれになる
すなわち、限界コラムカットが間接要因で、
正しく部品が組めていなかった、
ということになります。
ー限界コラムカットは諸悪の根源ー
もちろん、コラム長が短くても正しく組まれていれば、ガタは生じません。
短いコラム長とべた付けステムは、確かにスパルタンで美しさを感じます。
しかし、極端に短いコラムは諸悪の根源です。
たとえば、
-
ポジションの制限
-
ステムのスタックハイトが制限される
-
極薄カバー使用による防水性の低下
など、いいことはありません。
だから私は、いつもこう言います。
「いいかい学生さん、スペーサーをな、
スペーサーを5mm上に詰めるぐらいに切りなよ。
それが、コラム短すぎもしない、長すぎもしない、
ちょうどいいくらいってとこなんだ。」
おわり。























