貴重音源レビュー:オムニバス | 俺のビジュアル道(笑)

貴重音源レビュー:オムニバス

VA「ATTRACTIVE INFECTION」

1.Poisonous a story/Cracien de Rona
2.ぬけがら/SMOKY FLAVOR
3.Story/CHAOS
4.INSIDE SORROW/SEX-ANDROID
5.FLASH BACK/CRAZY CYBER VOICE
6.SHINE/Circulation
7.Darling/meffist
8.MONO MANIA/AL/FISH
9.DESTINY/SchallSchall-en
10.PORTLINESS BRAINS/Bang-Doll

2000年頃の関東ドマイナーバンドを集めたオムニバスCDで、2000年7月22日に神楽坂DIMENSION、翌23日に町田PLAY HOUSEで配布されました。(裏ジャケに値段の記載があるので、もしかしたら多めにプレスして販売もされたのかも)

名前くらいは知ってるバンドもいますが…なんと言っても、群馬の至宝(言い過ぎ)meffistが参加しているのが熱いです!


Cracien de Ronaはダーク&ハードビジュアル系。ビジュアル面もコッテリ熱いです。
疾走感に乗せてキャッチーなメロディを聞かせる王道スタイルで、キメキメのフレーズに絡むメロディが〇。
ボーカルも安定していて好印象です。

…ただし…

デモテープでも「こりゃ酷い音だな」と言いたくなるくらいのプロダクションで、どこか遠くで演奏しているのかと感じるくらい軽いサウンドになっているのが玉に瑕。
これはバンドの責任というより、エンジニアの問題よね。

SMOKY FLAVORはこの時点でそれなりのキャリアのあるハードなビジュアル系バンド。
ゴリゴリのヘビーサウンドが轟く中、オリエンタルな雰囲気を醸す音階のギターリフを上手く配し、ハード一辺倒にならない上手い曲構成になっています。
演奏レベルも歌唱力も及第点以上。こりゃ、ドマイナーの中に入れちゃ別格になるね。

ちなみに、いまだにオフィシャルサイトが遺構のように残っていて、このオムニバスの情報も…金欠でレコファンに売ったんか。古き良きバンドが再評価され、海外資金の投入もある2019年現在ならともかく、以前なら二束三文だっただろうなぁ。(笑)

CHAOSは王道ハードビジュアル系。
ヘビー&スピーディなバックに、シャウトとメロディを絡めた…Sleep My Dearの「DEATH」のようなボーカルラインを聞かせるナンバー。
ボーカルの声質もあって、Dir en greyが同曲をカバーしているような印象になっています。

SEX-ANDROIDは数年前まで活動していた、驚くほど長いキャリアを築くことになるバンド。
この時点で白衣は着ていますが、それほど白塗りでもないし(普通から見れば十分白いが)、電撃ネットワークみたいな方もおりません。
音楽スタイルも、奇をてらったものではなく、速いビートに口数の多いボーカルをメロディに乗せる、割と普通のビジュアル系らしい曲になっています。

CRAZY CYBER VOICEはボーカルとギターのユニットで、デジタルサウンドも取り入れたダンスロックスタイル。
音程は若干甘いですが、伸びやかでパワーのあるボーカルは好印象です。
ギターは、ソロでちょっと音程外してるのが惜しいかな~。

Circurationはピアノの旋律から始まるのが印象的な、いわゆる“白系”と呼ばれたソフビのド王道スタイル。
伸びやかなメロディを聞かせるボーカル、ボーカル同様に“よく歌う”ギターが特に良く、ハードなスタイルのバンドが多い中、透明感のある音使いでオムニバスを彩ってくれています。

meffistはMatinaに入ってすぐの時期で5人編成のアー写ですが、どういうわけか、メンバークレジットから亜希乃(gt.)の名前が消えています。絶対、記載漏れだと思います。
ヘビーなパンクメタル調の速いビート、変拍子のキメに合わせたシャウトの掛け合い…と、ライブでヘドバンが起こり拳が突き上げられる様が目に浮かぶような、ライブ映えしそうなハードナンバー。緩急をつけながらインリードで聞かせるギターソロ(やっぱりギター二人いるじゃん!!)も〇。
ただ、ハードな曲調に重点を置きすぎたのか、ボーカルラインはやや単調になっているのが惜しいです。

AL/Fishは黒服ダーク系バンド。
この頃隆盛しつつあったヘビーロック風のバックに、ポジパンぽいスタイルのボーカルが乗るナンバー。
見た目に反した印象のボーカルスタイルな上、ポジパン自体、既に絶滅種に近い存在だったので、好き嫌いは完全に分かれ、また、こういうスタイルが「好き」という人が耳にする機会も2000年ではほとんどなかったんじゃないかなぁ…と感じてしまうバンドです。
時代がさらに一巡した今なら、「なるほど」と思える面白いスタイルなんですが…

SchallSchall-enは01COMPILATIONのバンド。このオムニバスの後、アルバム・シングル・デモテープ・ビデオと、色々なアイテムをリリースしていました。
「DESTINY」は彼らの代表曲で、このテイク以降もデモテープ・アルバムと何度か再録されることになるナンバー。
SOPHIAを彷彿とさせるキャッチーなメロディを聞かせるソフトなロックチューン。
メロディの抑揚も多く、曲調もパートごとに上手く表情を変え、代表曲と自ら称するだけのことはある一曲になっています。

Bang-Dollも非常に長いキャリアを築くことになるバンドで、ビジュアルメタルな音を聞かせていたかと思えば、ボーカルとギターの二人になった時はメイクを落としてB'z化したり、音楽性は長いキャリアの中で変遷していきます。現在は…解散してるの?開店休業状態?と思いきや!まだまだ現役!少し先ですが、2019年は12/30に姫路Betaでライブの予定があるそうな!

バンドの中心となるのはボーカルのRyo-suke氏で、他のメンバーは入れ替わりが激しく、この頃のメンバーではドラムの弘樹氏が比較的長くバンドに在籍してた(脱退後はScarlet Valseに一時期在籍…予想以上にキャリアが長い!!)以外は、'00年代中期にCDを全国発売した頃に残っているメンバーはいません。あんまり関係ないけど、その頃ベースとして在籍する豪という方は、SMOKY FLAVORの方なのかな?
そんな長いキャリアの中では初期の作品となる「PORTLINESS BRAINS」は、気だるさを醸しながらメロディを力強く聞かせるナンバーで、メタル色は皆無。ボーカルは若干音を外す部分もありますが、“いい声”で伸びやかに歌ってくれます。
ボーカルより、ギターの方が音を外してるのが気になったり…


というわけで、後に単独音源を出して長く活動を続けるバンド、知名度はそこそこあるけど音源が残ってないバンド、知名度どころかこれ以外の音源あるの!?というバンドまで、マイナーバンド目白押しの面白いオムニバスになっています。
あまりにマイナーなため、市場に出てくることはほとんどなく(出てきても、思ってる以上に高くなると思う)、存在も知られてない一枚です。

各バンド、それぞれ録ってきた音源をエンジニアが調整して収録したのか、バンドにより音質が全く違い、また、エンジニアの調整もかなり大雑把なため、どのバンドもイマイチな音なのは少し残念…それでも、Cracien de Ronaだけは極端に酷いけど。


曲としてはmeffist、SMOKY FLAVOR、Bang Doll、Circuration、Cracien de Ronaがオススメ。


ちなみに、裏ジャケ…

あなた達がmeffistさんね…って、お前らはCHAOSちゃうやろ!


…色々と雑い…

 

 

ライブの告知フライヤー。

こっちはちゃんとバンド名も表記されています。