貴重音源レビュー:CRUNCH
CRUNCH「Hi CANDY!」
1.Hi CANDY!
ex-STELLA MARIAのNaoya、ex-wyseのNatsuを中心に(当時、ショップではそこ推しだった)結成されたCRUNCH。
メロコア調の、アップテンポでパンキッシュな演奏とキャッチーなメロディを聞かせるスタイルが、青春パンク全盛だった時代に合い好評を博しましたが、バンド自体は非常に短命で、1年経たずに自然消滅してしまいました。
こちらは、結成後間もなく作成されたDT「くらクラ」リリース後の東名阪ツアーで配布された1曲入デモテープ。
東名阪揃えると背帯部分が繋がるデザインになっています。(こちらは大阪版。他の会場デザインは見たこと無いです)
ヘビーなイントロダクションから、ファンキーなリフとキメキメの跳ねたリズムで聞かせるアップテンポなロックチューンになっています。
線は細いながら、エモーショナルに声を絞り出すボーカルも、スタイルに合っていて○。
難しい展開をするリズムながら、機械的にならず、ほど良いラフさで聞かせる楽器陣も、全国区のバンドで名を馳せたのも伊達じゃないレベル。
前述のとおり、短命で、音源も3曲しか残されていないのが残念になる、良いバンドです。
ミクスチャー、メロコア、ファンクと、当時の流行をそのまま取り入れたと感じる部分もありますが、端々にビジュアル系らしさを失ってないアレンジが聞けるため、15年以上経った今聞いても、(サウンドのチープさは否めないですが)スタイルの古臭さはあまり感じず、流行をビジュアル系風に上手く料理している、という意味では昔から繰り返されてきたビジュアル系の処世術を垣間見れるような一曲…バンドです。
実は、関西ビジュアル系の集結したスーパーバンドだったのかもしれません。
全員が引退してしまった今、いまさらこのバンドの復活は無いと考えていいでしょうが…その時代にどんなスタイルが売れていて、ビジュアル系にその波が来ていたのかが分かるという意味で、良い資料・サンプルのような気がします。