vol.708「レア音源レビュー:ZEDEKIAH」 | 俺のビジュアル道(笑)

vol.708「レア音源レビュー:ZEDEKIAH」


ZEDEKIAH「KARMA」


1.邪鬼
2.ナルシズム
3.人面獣心
4.KI×RE×TSU


'90年代中頃に活動し、「CRY-MAX PLEASURE」シリーズに参加した程度ながら、そのインパクトのあるサウンドに異常なほどの知名度を誇り、マニアックな支持を受けるビジュアル系メタルバンド。


特筆すべきは、やはりボーカルが女性であること。
バックを支えるスラッシーなサウンドをも凌駕する、力強いハスキーボイスで女性らしからぬ絶叫を轟かせつつ、時には女性らしい繊細さも聞かせる、力強さと表現力の豊かさを兼ね備えた不世出のボーカリストだったようにも思います。
'00年代以降は、ARCH ENEMYのアンジェラ姐さんや、SINERGYを率いたキンバリー軍曹といった、アグレッシブな歌唱を聴かせる女性ボーカリストは珍しくありませんが…当時としては、女性がここまで攻撃的なシャウトを聴かせることは珍しく、HOLY MOSES(ドイツ)のサビーナ将軍くらいかな…と。時代を先取りしたような体制だったと言えます。


基本サウンドは完全にスラッシュメタルで、ビジュアル系要素は容姿(それもジャパメタ寄り)だけ。むしろ「ビジュアル系のオムニバスに参加しただけ」と言う方が正しいくらい、正統派スラッシュメタル。
ヘビーなイントロからスラッシーに展開し、オリエンタルなギターフレーズやハモリのフレーズが効果的に使われ、リズム転調を繰り返しながら重戦車のごとく突き進むスタイルは黄金期のMEGADETHや、在りし日のMETALLICAを彷彿とさせています。


ボーカルラインや歌い回しにAIONぽさがあり、いかにも日本のビジュアルシーンから出てきたスラッシャーという名残はありますが、そこが他のバンドにない強烈な個性となっていて、このバンドを唯一無二の"Legend"として崇められる存在にした一因になっていると言えます。



カセットテープというフォーマットのため音像のチープさは否めませんが、音楽的センス・演奏レベルの高さが覗える楽曲ばかりです。
惜しむらくは、音源がほとんど残されておらず、存在がマニアの間でしか知られていないと言うこと。


メタルにとって冬の時代だった頃に出てきたのがこのバンドにとって、最大の悲劇…聞くべき人が聞かずして消えてしまった国産スラッシュの秘宝とも言うべき存在です。


'80年代のスラッシュメタルや'00年代のエクストリームメタルをこよなく愛する人は是非聞いて欲しいバンドです。


'90年代半ば、日本にもこんな刺激的でかっこいいバンドがいたんです。