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過去の話です。
私は離婚をしてから、もう結婚などするつもりはなかったし、1人で生きて行くつもりでした。
しかし離婚をしたその年に今の夫と知り合いました。
同じサザンオールスターズのファンとして意気投合しましたが、お付き合いを始めるのには少し時間がかかりました。
離婚したばかりだし、軽く見られたくない、もう男性と付き合うのは懲り懲りだと思っていたし、とても考えられない事でした。
まぁ、結局はお付き合いを始めるのですが。
まるで昔からの知り合いのように感じたし、一緒にいてラクだし、何よりも私を大事にしてくれました。
大事にしてくれるのは今でも変わりません。
病院にいる母には一度会っていました。
意地を張って実家で生活していましたが、夫と同居する事を決めました。
パート先の同僚からは「実家を離れてもお母さんにはわからない。」と言われましたが、1週間もしないうちに母の知るところとなりました。
パート先のスーパーに、母の昔からの友人のHさんが買い物に来ていました。
そのHさんが、私がスーパーにいない事に気がついて、実家を見に来たそうです。
実家には私の車が停まっていない。
わっこちゃんは、パートを辞めて実家を出て行った!
そう確信したHさんは、病院の母に告げ口に行きました。
世間にはヒマな人がいるものです。
まさか、実家に私の車がない事を確かめた上で、母の病院まで私がいないと言いに行く人がいるとは思いませんでした。
しばらくして私が母の見舞いに行くと、母は怒っていました。
「あんた、家にいてないそうやな。どこに行ったかわからないから、私はどれだけ心配したか。あの男のところにいるんか。」
口汚く言われました。
「病院からお母さんが取り乱しているとたびたび電話がかかってきて、その度に病院に来て職場に迷惑をかけて、居辛くなって仕事は辞めた。私も1人で暮らしていて、しんどくなった。もうあの家にいなくても良いと思って、引っ越した。」
そんな内容の事を母に話しました。
話しながら、涙がポロポロとこぼれました。
悔しいから泣かないでおこうと思っても涙は止まりません。
私はあまり母の前で泣いた事がなかったので、母は驚いたようでした。
私は前の結婚をしていた頃から何でも1人でやって来たので、母は私を強い子だと思っていたのでしょう。
初めて弱音を吐いて泣く私に、母はそれ以上何も言いませんでした。
続きます。