ある村にたいへん噂好きの男の子がおったそうな。
村での噂を面白おかしく話すので、よく村の人々もその男の子の話に耳をかたむけていたそうじゃ。
その村にはリンゴ農家がいくつかあっての、おいしいリンゴを求めて村人はもちろん、村の周辺の人々もよく買いに来ておった。
ある日男の子は村の中でこんな会話を耳にする。
「どこの農家で作ったリンゴが一番おいしいと思う?」
「そりゃAのところだろう。形は大きいし食べ応えがある」
「いやいや、Aのところのリンゴは味がうすいよ。Bのところは小さくても甘くて味がいい」
「でもBのリンゴはあまり日持ちしないからなぁ」
それを聞いた男の子は次の日から村の人たちやリンゴを買いに来た村の外の人たちにこう話した。
「リンゴを買うならAさんのところがいいみたいなんだって!形も大きいし、食べ応えがある。他ではなかなか買えないみたいだよ!Bさんのところのは小さいし、腐りやすいからおすすめできないんだってさ!」
それを聞いた人々は
「そうなのか、リンゴを買うならAさんとこだな」
「そうだね」
と、男の子の話したことを鵜のみにしたそうな。
それを聞いて男の子は
「効いてる効いてる」とほくそ笑んだそうじゃ。
でもBさんの作るリンゴもおいしいことを知っている人たちから
「おい、お前。あまりいい加減なことを言うもんじゃないよ」
「根も葉もない話を本当のように言うなんていけない子だ」
と怒られてしまった。
けれども男の子は
「僕が言ったんじゃないよ。大人たちが言ってたんだい」
気にする様子もない。
男の子は反省するどころか、ますます話をひろげていった。
「Aさんとこのリンゴが一番おいしいんだって!」
「味がうすいって言ってる人はAさんのリンゴが嫌いだからそう言ってるんだって!」
「Aさんのリンゴを悪く言ってる人はBさんのリンゴが好きな人たちなんだって!」
「Bさんとこのリンゴは小さい上に腐りやすいし、食べたらお腹をこわしやすいんだって!」
「Bさんのリンゴを食べたらバカになるんだって!」
「Bさんのリンゴを食べたら目が悪くなるんだって!」
「Bさんのリンゴを食べたら・・・」
「Bさんの・・・」
・・・・・・・・・・・
万事こんな調子で話すので、ついに村の人たちは怒ってしまったそうじゃ。
怒った人たちの中で、男の子がAさんの家に出入りするのを見かけたものがおった。
人々は皆こう噂しあったそうじゃ。
「あいつはAから金をもらってAのリンゴを良いように言ってたんだ」
「Bのリンゴの悪口を言うようにも頼まれたんじゃないか?」
噂は村の外にまで広がった。
男の子はたいそう焦って皆にこう言ったんじゃ。
「そんな根も葉もない噂なんて信じないでよ!」
もはや男の子の話を信じる人はおらんかった。
男の子は村を去って行った。
Aさんは今でもリンゴを作っているそうじゃ。
さて、本当に悪いのは誰じゃろうか?
P.S. ヘッタクソな風刺ですんませんw
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