地形や気候によっては、趾球（肉球）の負傷や凍傷防止措置が必要です。
日本陸軍では、軍犬凍傷予防用の軟膏、足袋などが開発されていました。陸軍歩兵学校のマニュアルに記載はされていますが、実際にどのようなモノだったのかは不明。

耐寒管理使役
九、冬季保健竝ニ疾病豫防上著意スベキ事項左ノ如シ
1．気象ノ変異ニ伴フ耐寒力ノ低下
犬ハ優秀ナル耐寒力ヲ有スト雖モ、気温急変、気流、湿度等気象ノ変異ニ遭遇スルトキハ耐寒力ヲ低下ス。就中、気流（風）アルトキハ防風保温ニ就キ考慮スルヲ要ス。
駐留間ニ於テ特ニ然リ。
2．栄養ノ衰損
3．感冒性消化不良性（下痢）
4．犬瘟熱（ジステンパー）及肺炎
5．凍傷性趾球傷
積雪中ノ行動中、雪砂趾球間ニ付着シテ趾球傷ヲ発生シ、行軍、走行力ヲ減殺スルヲ以テ、豫メ凍傷豫防膏ヲ使用スルカ、或ハ趾球傷豫防具ヲ使用スルヲ可トス。
日本陸軍歩兵学校　昭和16年

よく分らないので、外国の事例をどうぞ。

こちらは朝鮮戦争のアメリカ軍。
ブルース上等兵（第45歩兵師団所属）の愛犬も、寒さから身を護るセーターとブーツを着用しています。

耐寒ブーツとは別に、耐熱ブーツも存在します。
こちらは太平洋戦争中のアメリカ沿岸警備犬。
険しい岩場や日に灼けた砂浜をパトロールする彼等に、コーストガードのレイモンド大佐からキャンバス製ブーツがプレゼントされました。
日本軍工作員の上陸を警戒する沿岸警備隊は、ハワイや西海岸に国境警備犬を張りつけて警戒にあたっています。

犬の趾球凍傷防止具