一月

正月休みに來る人多く、案内者の爭奪にて惡案内者に引かゝる月です。撃手が多いのであまり大獵は望まれません。

二月

案外の多獲をする事があります。海上の鵜撃なども面白い程獲れる事があります。

三、四月

山鷸の殘りと鶉を撃つ位ゐのもので、地の獵師は出かけません。歸り鴫は差木地村の邊に、少々参る位ゐなものです。

汽船は京橋の將監河岸、東京灣汽船會社から、一の日、三の日、五の日、八の日、及二十七日の午後八時出帆。賃金三等二圓八十八錢、犬は半額です。

翌朝未明に岡田村着、こゝは獵區が常に公開されてゐます。料金五圓、旅館は岡田旅館、案内人は二、三名有ります。

次は元村狩獵地です。旅館は三原館、千代屋等相當設備の行届いた名のある宿があります。案内人は職獵師が有りますが、客人が多いと附けこんで多額の賃金を要求したり、いろ〃横着な事をする者がありますゆゑ、大島獵話會へ御申附になれば、相當賃金で公認の者を差出します。

 

大島獵話會『伊豆大島の獵信』より