内地犬界が戦況悪化によって飼料不足に苦しみ始めた頃、満州国犬界でも問題提起がなされるようになりました。
もっとも食糧事情に余裕があったため、「来るべき危機への備え」的な意味合いもあったのでしょう。
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軍用犬飼料の問題として、其の取得が困難性を持ち、將來考慮すべき點があるのを痛感する次第であるが、聊か卑見を述べて若干の参考を御提供したい。
現在犬糧として其配給はある様になつてゐるが、それは先づそれとして飼養者側に於いては飼料給與の圓滑と給與量の補缺の點に關し相當の考案を要し、又實行によつて飼育の萬全を期せねばならぬのであるが、差し當り次の様な附帶事業を推奬したいのである。
第一、主食を獲得するための實施事項
(イ)高粱、砂糖高粱、玉蜀黍、大豆等の穀類栽培
空閑地栽培とか新開墾地の利用とかをやれば尚更よろしい譯であるが、既耕地若干を求めて増産を圖り、給與穀類の一部を自給するのも一案と思はれる。
(ロ)馬鈴薯、南瓜、小豆等榮養代用品の栽培
事實上、これ等のものは穀類代用の價値が大で、實際に犬に與へてゐるところであるが、空閑地の利用でも相當量を得られるものである。
特に馬鈴薯は利用價値が大である。
※次回へ続く
満州軍用犬協会 吉本豊繁『戰時犬糧の擴充と經濟的給與法(昭和18年)』より