東京市豊島區池袋二丁目一、一三七の土佐犬普及會では去る一月十三日午前九時、會員各位が土佐の猛犬を美々しく麗装させて日比谷公園に集合し、數十頭の猛犬が日比谷から新議事堂前赤坂見附、権田原、外苑、千駄ヶ谷驛頭を経て堂々行進を始め、非常時打破の氣勢を挙げながら道行く人々の注目を惹いた。

『土佐犬、明治神宮へ初行進』より 昭和10年

 

戦前日本で隆盛を誇った近代闘犬界ですが、戦時体制下では警察当局や動物愛護団体から「この非常時に何やってんだ」と攻撃され、軍部へすり寄るも「シェパードがいれば充分」と門前払いされ、欲求不満をストリートファイトで解消しようとして(散歩中の犬へ手当たり次第にケンカを吹っ掛けるなど)一般愛犬家まで敵に回し、四面楚歌の中であっけなく崩壊しました。

終戦時、生き残っていた土佐闘犬は東北・九州あわせて20頭ほどです。