1、昭和十六年度犬界に於ける最大の印象

情勢の進展と共に重壓を窺ふのみ。

 

2、昭和十七年の貴犬舎の計劃

なし(但し計劃のみはいつも大)。

 

3、犬界の新體制的發展の具體的方法手段等

戰時下に於ける犬界の政治的組織、即ち新體制下に置かれる各犬種團體は、其構成分子として各團體が○○を確保助長すべき自由主義的利己的結合團體でなく、これに依つて先づ犬界資源を持つて所謂國家的犬種團體たるを要請するは論を俟たない。

而してこの理念の徹せる上からは犬種團體の頂點は國家機関と緊密な連繋下、其の目的の分担遂行にあたらねばならぬ。この意味に於て従來の或る意味に於ける私的犬界が公的團體への轉進が凡そ新體制下の理念であり、畜犬界發展の基礎的條件であらねばならぬ。

この理念の徹底あるに於て犬界新體制的發展の具體的方法及手段は自ずと展開するは論ずるまでもない。この本來の理念に徹せしめることこそ緊急且つ手段の最大條件とすべきである。

 

東京 渡邊肇 『前年度の犬界印象その他』より