製造年 6世紀ごろ
犬種 たぶん日本犬
性別 なし
地域 群馬県
所有者 浅見作兵衛氏→宮内省帝室博物館
 
帝國ノ犬達-埴輪
こちらは国立科学博物館で展示中の群馬ハニワ犬。
 
東京国立博物館に収蔵されている古墳時代の犬埴輪。ミュージアムグッズとしてヌイグルミ化されたり(ちくしょう買いそびれた)、日本犬保存会報の表紙を飾ったりといった超有名犬です。
古墳時代の日本犬が首輪をしていたこと、立耳巻尾の姿であったこと、埴輪にされるほど重用されていたことなどが推測できる、たいへん貴重な史料でもあります。
 
で、個人蔵だったこの埴輪が国立博物館へ収蔵されるまでの経緯を、日本犬保存会創設時の草稿集を漁っていたら偶然発見。佐波郡で発掘されたハニワ犬を(浅見氏が発掘したのではなく、他人が掘りだしたのを買い取った様です)、地元に住む日本犬保存会員が渡瀬庄三郎博士へ紹介したのがデビューのきっかけでした。
日本犬界には、まだまだ未知の史料がたくさんあるんですねえ。
 
 
「昭和参年春、浅見作兵衛翁の繪語り御相談に対して、それは恐らく日本犬の埴輪であつて、然かも日本最初の出土品で、必ずや天下の貴品珍物であらうから、是非買入なさるべしとの余の勧めに應ぜられ、御入手の上、珍重、愛護されて居たものである。上の寫眞は同氏の行楽園大廣間の廊下で、野中寫眞館主が撮影したものである。標尺は曲一尺である。
現物は現在帝室博物館に陳列してある」
日本犬保存会員 原徳人 昭和3年
 
同年に発足した日本犬保存会の功績は、消滅しかけていた日本犬の保護だけではありません。同会には縄文~中近世に亘る日本犬(および日本産狼)の史料が集められ、地域レベルで扱われていた「地犬」を全国規模の年表で俯瞰できるようになったのです。
しかしあの有名なハニワ犬も、日本犬保存会が存在しなければ浅見さん宅で人知れず所蔵され続けていたんでしょうね。まさに、日本犬の存続とってはギリギリセーフでした。