生年月日 不明

犬種 土佐闘犬

性別 不明

地域 東京府

飼主 岡澤常夫氏

 

「十月、アサヒ映畫より愚息の撮影に参り、例によりルー公を共にとの事でしたが、ルー公は二月程以前からフイラリヤの症状にて大變不快さうなので、犬車の使用等はお断りしたのですが、ホンの一寸でよいからとの事で、又ルー公は映畫に現はれる事になりました。

處が其後愈々病勢悪しく手當の効もなく本日(十一月二十日早朝)眠るが如く死去致しました。行年は未だ七歳ですが、私としては土佐犬の爲めに何とか基となる様な野心でアレコレと御承知の通り努力致しました處、望外の結果を得、私も大變嬉しく存じ居ります。

又ルー公はよくやつて呉れました。その最後の映畫に出る時も、自分の身體の悪い事も知らぬげに、犬車を見ると勇み立ち、作業をする様は私の胸を打ちました」

 

因にこの映畫はアサヒホームグラフ第三〇號に天才畫家として収められ、十一月十六日から廿二日まで東寶系、廿三日から廿九日まで松竹系のニユース館で上映されました。

『ルー公逝く』より 昭和14年

 

当時の俳優犬には土佐犬もいたんですねえ。