本縣の畜犬税は労役犬半年一圓、其の他が二圓、付加税ともに労役犬二圓餘、番犬其の他が四圓餘で、静岡市の如きは都市計畫税迄背負はされて居り、貧乏には犬は飼へぬ。
この馬鹿げて高い税を拂ふ事の出來ない者にも、動物愛護と飼育の趣味はある。
脱税飼育者の現はれる事は蓋し必然的の結果である。高額の税は飼育者を制限する事にもなるとの見方も理屈もあるが、之は脱税者を厳重に取締り飼育者が全部納税した場合、其の目的が達しられる譯で、現在の如く全飼育者の四分の一乃至五分の一内外の納税者で他が脱税者の場合は、改正値下げと共に強制力を以て納入させる方がよいと思ふ。
同時に一年春秋の二回に野犬掃蕩を行ふ必要がある。
昨年十二月五日から二十日まで縣下一斉に行ひ、その結果捕獲八七八頭、薬殺六七九頭、買上六六二頭、此の他新に届出納税手續をなしたるもの三一八四頭で、従来届出飼育中の三八四三頭と殆んど同じ位に達し、此の間の経費六百十圓で、経費の約十倍の収入を見て居る。
経費は自然に生れることになる。
野犬狩は毎年實施し、飼育者不明の犬、病犬等街頭に見なくなるまで徹底さしたいものだ。

杉本生「野犬を根絶せよ」より