著者 白木正光編輯
発行 犬の研究社
年代 昭和8年~

犬

時事新報出身の白木正光が発行していた愛犬雑誌。

白木正光は、グルメやペットに関する記事を得意とする記者でした。
時事新報社の上層部から冷や飯を食わされるようになった白木さんは、独立を計って『犬の研究』を発行します。
ペット雑誌を選んだのは、一定の顧客層である愛犬家が存在したから。既に関西地方では『ドッグ』『狩獵と畜犬』誌が先行していました。
昭和8年の段階で、ペット雑誌で収益を確保できるほど日本畜犬界は発展していたのです。

『犬の研究』は、犬に関する様々な情報発信に加え、毎号テーマを決めた特集を組んだりと非常に充実した誌面となっています。
真面目な研究レポートから愛犬自慢、マンガにコラムに海外ニュースまで、品種やジャンルにこだわらず犬の世界を幅広く受け入れた姿勢には共感する人も多かったのでしょう。無名の一般庶民から政治家・芸術家・俳優・公務員・軍人や警官など、さまざまな人々が愛犬話を寄稿していました。
近代日本犬界を凝縮した内容といえるでしょう。

やがて日中戦争が勃発すると、『犬の研究』の内容も軍用犬特集や軍犬武勇伝など戦時色が濃くなってきました。
戦況が激化する中「物資運搬に荷役犬で貢献しよう」「小型犬なら少ない飼糧で飼える」と、ペット界を守るために活動を続けた白木さんですが、昭和18年に戦時の紙物資不足から休刊へと追い込まれました。
戦後の昭和25年に同名の雑誌が出現したものの、2つの『犬の研究』の関係は不明です。