飼ひ犬の選び方
始めて犬を飼ふ場合、どんな種類を選んだらよいかと云ふ疑問は、誰にも起りますが、それには先づ第一に飼育の目的に相応しい種類を選ぶことが大切です。
たとへば愛玩が主目的であるとか、それよりも番犬の性能に優れたものを飼ひたいなどと云ふ目的に依つて、番犬ならば番犬に相応しいもの、猟犬なら猟芸い勝れたものを選ばなければなりません。

しかし一般家庭で、殊に初めて犬を飼ふ場合は、最初から餘りに専門的に亘るのは不可で、こゝでは大體愛玩兼番犬の、ごく一般的の飼犬の選び方に就いて、大體の注意を述べることにしませう。


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(1)種類の純粋なものは考へものです。純粋なもの程、犬は上等であり、珍重されますが、それ丈けに體が虚弱で、余程飼育に馴れないと失敗に終ることがあります。それ故、最初は雑種の丈夫な犬を飼つて、飼育の手心を會得してから、初めて優良種の飼育に着手します。
(2)大小の極端なものは考へもので、一般家庭には中型犬が適します。
(イ)
小型犬は愛らしく、小さいから取扱ひも便利で、婦人子供の愛玩犬には持つて来いですが、小犬は一體に神経質で虚弱で、それ丈け飼育に細心の注意が要つて純粋種同様初心者には不向きです。
(ロ)
一方極端に大きい犬は、如何にも堂々としてゐて魅力的であり、犬を飼ふなら素敵に大きい犬を飼ひたいと云ふ欲望は誰にもありますが、大きい犬は大きい丈け管理に手がかゝつて育てにくいものです。
早い話が運動も毎日充分させませんと、運動不足になつて弱りますが、一般家庭で毎日一時間乃至二時間も犬を運動につれてゆく余裕は、余程の篤志家か閑人でもない限り、絶對にないと云つてよろしい。
それに飼育費が大きい犬はかゝつて、お臺所からも苦情が出ます。犬小舎も大きいものを用意しなければならず、不浄の後始末にも困るものです。
(3)尤も空地のない都會では、屋内飼育の小型犬の方が飼ひよい場合もあります。
(4)流行犬を飼ふことも考へものです。



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