シエパードの優秀犬が四國高松方面及び廣島縣下に移動しつゝあることはシエパード界周知の事實であるが、廣島縣大竹一本杉は正にシエパード村の観があり、軍用犬の資源充實の實際方法に暗示を與へる點から見ても非常に興味がある。
この村は畜犬に實に理想的な土地で、會つてヂステンパーにかゝつた犬がないと云はれる程、環境が犬の生活に恵まれてゐるが、こゝの青年團長格と云つた素封家陣場氏を盟主に、松本端三氏が實際的采配を振ひ、大竹シエパード倶楽部が組織されてゐて、盛んに気勢をあげてゐる。
今や世界的名犬ウツヅ・フオム・フツセン號もこゝにあり、その発展に多大の期待が寄せられる。
一面、軍用犬の畜産的発展と云ふと語弊があるかも知れぬが、とにかく農村の副業飼ひとして括目に値する。
そしてよきに付け悪しきにつけ、先覚の模範村となることであらうから、切に正しき発展を祈つてやまない。

「シエパード村現る」より 昭和8年

農家の副業としてのシェパード蕃殖ですか。それも地域ぐるみで。
興味深い話が次から次に見つかるな。