今回は、戦時を反映したヌイグルミについて取り上げます。


帝國ノ犬達-ヌイグルミ


材料
國防色ネル又は洋服地巾三十糎、丈三十四糎、赤白のネル少々、地布によくうつる小布(青)、赤のボタン小一個、大粒のビーズ二粒。


帝國ノ犬達-ヌイグルミ

裁ち方
まづ型紙を作りますが、内側の體は外側の體の點線から下を裁切ります。
この型紙を布裏にあて、型紙通りに標をつけ、五粍の縫代を加へて裁切りますが、裏表のある布は左右同じ向きにならぬやうに注意します。

帝國ノ犬達-ヌイグルミ

作り方
一、左右の外側と内側の體を中央に合はせて首の下から二本の足を縫つて尾の下でとめます。
二、今縫つた左右の體を中央に合はせ、お腹の所を残してぐるつと縫ひ、表に返して型紙圖の所にビーズをつけます。
三、お腹のあいている所から屑紙を細かく切つて足、顔、胴とかたくつめ、あいてゐる所をくけ合はせます。
四、耳の布の丈を中表に二つ折にして両側を縫つて表に返し、裁目の側を幅二つ折にしてのりをつけ、型紙にしるしてある場所に鉛筆の太さぐらゐの穴をあけ、輪の方が後にゆくやうにさしこみます(①圖参照)。
五、白ネルを2圖の寸法に裁切り、赤ネルを十字のマークに切つて白ネルの両側にのりづけしたものを写真を見て胴へはりつけます。
六、青の布を首に一巻して二糎ほど重ねて切り、赤のボタンを縫ひつけながら一しよに縫ひまとめます。
七、黒の木綿糸で鼻を①圖のやうに縦に五、六針さして出来上ります。

井内節子「皇軍慰問用縫ひぐるみ動物」より 昭和14年


銃後の少女達から戦地の兵隊へ送られた慰問用のヌイグルミたち。