東京支部會員へ
支部幹事磯野氏の提議に基き、支部は迷犬の件につき、次の如く一般支部會員の注意を喚起してゐる:

この頃東京市内ではシエパードの迷犬が大変多くなりました。
その所有者の心痛は想像出来ない程大きいと思ひます。
それで、當支部では能ふる限り迷犬發見にお力添へすることといたしました。

迷犬の所有者はJSVの會員で有る無しに拘らず、誰方でも、シエパードに関する限り、迷犬が生じた場合は、早速、本部事務所内東京支部宛に左の事項をなるべく詳しく書いて逓信印刷費として金六圓也を添へて御通知下さい。
一、迷犬の性別、特長、大きさ、歳等。
二、発見した場合の通知先。

支部では直ちにハガキで支部全會員(東京府、神奈川縣、埼玉縣)に發見依頼状を出します。
支部會員の移動其他の事情で、毎日、會員数に増減がありますから、通信印刷費等諸費は實費の計算をして過不足金は後にて精算いたします。
當支部管轄外の他縣下の會員へも御希望によつては通知状は出します。
将来は出来ることなら警察當局とも連絡をとつて愛犬家の不安をなくして行きたいと思つてゐます。

日本シェパード犬協會「東京支部報告」より 昭和11年