犬学と云ふ術語がある。
にも拘らず我が犬界は如何にも独断と、迷信と、ひとりよがりが蔓つてゐる事か。
犬に関する書物と云へば随筆か、でなければ新聞の焼直しに過ぎないではないか。
だから犬界はいつまでも十二世紀的蒙昧時代を脱しないのである。
勿論逆に一般の知識的要求がないからそれらの研究が行はれす、従つてそれ等の書籍が出ないとも云へよう。
それは兎も角、犬界の雑誌を見て科学的の研究記事が少ない(否全く無い場合すらある)事は非常に寂しい。
之は勿論我国に限つた事でなく、ドツグ・ワールドかアワー・ドツグ等でも同様な事が云へよう(以下略)

MK生 「要望一つ」より 昭和11年