カニバリズムとは、蟹をバリバリ食べることであります。乱調文学大事典にそう記載されておりました。
クレームは筒井康隆先生へどーぞ。



戦時中のお話。
陸軍獣医学校が上海で大量の肉骨粉を入手したので、試作ドッグフードに加工してみました。
しかし、犬は全く食べてくれません。
不思議に思ってよく調べると、実は犬の肉骨粉(タンケージ)であったと判明したとか。
日本ドッグフード史は、この手のハナシがイロイロあるので飽きません。

大橋KV理事
何か今後飼糧として使つて見たいと考へられるものはありませんか。
宮本陸軍獣医学校大佐
私、犬の飼料として使へると思つて使へなかつたのは、上海に行つた時、四百萬圓で出来たといふ東洋一の屠場で、タンケージが一ポンド六銭なので、私犬にそれを食はせようとしましたところが、どうしても食べない。
このタンケージの中に犬の肉が入つてゐるのです。
これで犬が食はないわけがわかつたのですが。
刈田KV書記
タンケージとは何ですか。
宮本
つまり屠場で廃肉から脂肪をとつて乾燥したもので、それで病気のものとか、死んだものとかがあり、犬も混つてゐるのです。
それは一ポンド六銭で只みたいに安いのです。
馬にも使ほう、犬にも使ほうと考へて居りましたが駄目でした。

「軍用犬飼糧座談會」より 昭和13年


「犬は犬肉を忌避する」とよく言われますが、シェリントンというイギリスの神経学者がコレを実験した記録もあります。
昭和10年、日本でも紹介された英国カニバリズム(種内捕食・共食い)実験の内容は、「屠殺したブルドッグの生肉と比較用の牛馬肉をシェパードに与えてみる」というものでした。
テスト対象の11頭中、3頭はブルドッグ肉を完食、2頭はちょっとだけ食べ、4頭は食べるのを拒否、2頭は複数回の実験中、何度か食べるのを拒んだので無理に食べさせた等と反応が分かれました。、
拒絶した犬達については、犬肉の臭気が要因である事が推測されましたので、犬の嗅覚神経を手術で切断し、再実験を試みようとした
そうです。
何モソコマデシナクテモと思うのですが、手術前の絶食状態(計60時間)にあった犬達は、空腹のあまり全頭がブルドッグの肉を食べてしまいました。
それではと加熱調理したブルドッグの腿肉を与えたら、今度は全頭が旨そうに食べてしまったとか。
実験はそこで御仕舞い。

因みに、日本では「猫は猫肉を忌避するか否か」という意味不明の実験をした人が……