森本氏

現在の犬を登録し、今後の犬も是非登録するといふ事を申合せて次の問題に移つたら何うでせう。

 

瀬野氏

未成犬の事ですが、成犬に對しては宮様のカツプが出ますが、未成犬に對してもカツプのやうなものが出ればいゝと思ひますがね。

さうすれば仔犬を大きくするものに取つて非常な力になると思ひます。又、日本産の犬を發達する上に非常な効果があると思ひます。

 

森本氏

内國産に對する有効な奬勵法を考へて貰ふ事は大へん必要な事と思ひます。品評會で審査して貰ふのもいゝが、その犬をつくつた人の名前が無視されて居る。

で、今後は犬の名前とこれをつくつた人の名前とを併せて表彰する事にすれば、必らず大きな奬勵になると思ひます。さうすればつくつた人の名前の爲めに努力し、犬種を向上せしめる事になると思ひます。

故に内國産の審査と共につくつた人のネームを發表して貰ふ事にすれば、一層有効な奬勵が出來ると思ひます。

 

宮川氏

大賛成です。

 

森本氏

何ういふ風にしてこれだけの犬をつくつたかと言ふ事が一般に非常に参考になるばかりでなく、犬を育てた人及び最初に之をつくつた人の名譽になるのでありますから、ケネルネームと犬の名前とを一緒に發表する事が非常に必要な事と思ひます(結構ですねと言ふ聲あり)。

 

ラムスデン氏

だん〃さういふ必要が出來て來ますでせう。

 

森本氏

現在犬の成績發表には只犬の名前に限られて居る。多少煩雜でも今後はさういふ風に致したい。

 

(発言者不明)氏

血統の登録が出來てゐないといふ事も多少關係があるでせうね。

 

森本氏

品評會に於てなるべく細かく發表するやうにすれば、育てた者の名譽にもなれば持主の名譽にもなる。つまり犬に對する共同の事業といふ風な考へでこれに参加した人の名前の判るやうに發表すればいゝと思ひます。

 

伊藤理事

登録の際にケンネルネームと自分の名前と此二つを揃へればいゝ譯ですね。又自分の好きな名前を附けてもよろしいです。

 

宮川氏

此際ケンネルネームに關して決議をして貰へば結構ですね。

 

伊藤理事

どういふ風にすればいゝですか。

 

森本氏

ケンネルネームの附け方は倶樂部の雜誌に精しく書いてありましたが、あの位で結構だと思つてゐます。併し乍ら必ずしも横文字に拘泥する必要はないと思ひます。

外國名を附けるのもよろしいが、又犬の名前に所の名などその他堂々と日本の名前を附けても恥かしくないと思ひます。

 

伊藤理事

ケンネルネームは附ける方の御随意になさつたらいゝでせう。

 

宮川氏

未成犬の審査といふ事について一ツ力を入れて頂くわけに行かないでせうかね。

 

伊藤理事

未成犬の審査といふ事に就ては審査員側から言へば非常に困難な事なのです。成犬に對しての審査さへもなか〃容易な事でないのです。

なか〃これはむづかしい話で、何うもいゝ加減な事は流れやすいと思ひます。此處に居られる中島理事は未成犬に對しての鑑識がなか〃お有りださうですが(一同笑ふ)、併し吾々はなか〃むづかしいのです。

斯ういふ例があります。

先般も或人が、どこどこが惡いに拘らずあんな犬が入賞したではないかといふ質問をされました。そこで私は未成犬の審査は成犬と異り、必ずしも現在を審査するものでない。良いとか惡いとかいふ事は成犬になつて判るんであつて、未成犬にあつては發育或ハ性能の點から推して將來良くなるであらうといふ豫想の下に入賞したんである。

と言つて實は逃げたやうな次第なのですが、未成犬に對しての審査といふものはなか〃むづかしい。皆さん何か御名案があれば拝聽致したいと思ひます。

(未成犬の審査はむづかしいでせうねといふものあり)

 

ラムスデン氏

血統が判ればいゝが、判らなければ大變困ります。血統を見ないで審査するといふ事は到底出來ないだらうと思ひます。

血統書がなくて審査せられる方は、どういふ風でやられるか聽かせて頂きたいと思ひます。私は血統を先きに調べなければ到底審査は出來ないと思ひます。

 

森本氏

私の考へでは品評會には犬の名と育て主、少くとも兩親の名を書き入れて、さうして品評會に届けるといふ風にしたら審査員の方も非常に便利だと思ひます。

 

ラムスデン氏

兩親が判れば非常に結構です。併しその犬が良くても何ういふ仔を出すかといふ事を目的として審査しなければならぬから、何うしても血統の必要があります。

 

森本氏

日本のシエパード倶樂部には、まだ〃不備の點が多くありますが、漸次吾々の意見を採用して貰つて行けば、此處一年か二年の内には皆さんの考へて居られるやうな品評會の届け出その他審査員の方々の便宜な材料を提起するやうな理想的なものになるだらうと思ひます。

 

「NSC關西茶話會(昭和7年)」より

生年月日 不明

犬種 シェパード

性別 牡

地域 東京府

飼主 桑原氏

 

 

 

 

昭和12年頃撮影

 

 

 

生年月日 不明

犬種 ラフコリー

性別 牡

地域 東京府

飼主 中込政重氏

 

キャプションには「暴れん坊トム君」とあります。

トム君はラフコリーにしては小柄なような、しかし右耳は曲がって左耳が立っているし、胸の飾り毛はフサフサ感が足りないようだし、シェットランドシープドッグとは違うのでしょう。

ちなみに、シェルティーが輸入されたのは昭和11年です。

 

 

 

 

昭和12年頃撮影

 

 

 

生年月日 不明

犬種 日本犬?

性別 牝

地域 東京府

飼主 中込政重氏

 

キャプションには「寫眞顔のまづいアカちゃん」とあります。

 

 

 

 
 
 

変わった形の犬小屋ですね(昭和12年頃撮影)

 

 

 

生年月日 不明 岡山生まれ
犬種 ドーベルマン
性別 牝
地域 岡山縣
飼主 松井猛氏

帝国軍用犬協会創立5周年記念展に参加したブランカ(昭和12年)

拝啓
陣者去る二月九日付をもつて軍に補充され、同十五日當部隊に配属されし軍犬ドーベルマンピンシエル種
犬名 ブランカ(フオムハウスチクサ)
登録番号(DKZ)第一六四六
元岡山縣和氣郡 松井猛氏愛犬
は長途の輸送と氣候激變により、抵抗力を失ひ、上陸當時より衰弱の一途をたどり、それが原因となり、ヂステンパーを併發いたし、去る二十三日午前一時つひに東亜永遠の礎として大陸の土となつて仕舞ひました。
今迄松井氏には、何等病氣の趣は報告してないのです。同氏の手許に有つて出征直前迄我が子の様に可愛がつて居られたらしい同氏の胸中を思ふ時、どうしても御知らせする事が出來なかつたのですが、事此處に至つては何とする術も有りません。
此の手紙と一緒に松井氏にも逐一御知らせいたしました。
氏の御心痛を思ふと實に御氣毒にたへません。
係の兵もつくせる丈けはつくしてやり、其の霊をなぐさめてやるべく墓も立派に造つてやりました。死亡當時の様子は、私の日記より摘出して同封しておきます故、御一讀下さい。小生等も銃後皆々様の御後援に依り、軍犬と共に元氣一杯聖戰目的達成のため、御奉公申上げて居ます。
今後共何分の御指導御援助下さいます様、北支陣中より御依頼申上げます。 草々
三月二十八日
北支派遣○○部隊 ○○部隊○部
三宅弘

(同封日誌)

上陸以來(二月十五日)衰へて居た銀明號がヂステンパーにかゝり、とう〃死んで仕舞つた。
今日の日記に書くのは當を得て居ないかも知れないが、床に入らない内だから今日の分にかき込んでおく。
正しく云へば銀明が息を引き取つたのは、二十三日午前一時頃だつた。朝起きて見た所、銀明の様子が變だつた。今迄ヂステンパーで毎日ミルクばかりやつて居つたので元氣な姿などとは思つて居なかつたが、餘りの變り方に驚いた。昨日迄は可成り元氣で犬舎の外で遊んで居た。此なればもう大丈夫と思つて居たが、見れば居眠の様にこくり〃と頭を前に下げて居る。
たゞ事でないと思ひ上等兵殿に報告し、上等兵殿から獸醫官殿に云つて、今日一日だけで注射を六本ばかり打つたが、日毎喜んで喰つて居た卵も喰はなくなつて仕舞ひ、夕方頃から體温がだん〃下つて來だした。
八時の點呼後すつかり危篤状態になつて仕舞つた。
犬舎の前に銀明號を自分の作業着に巻いてしつかりと胸に抱き、男泣に泣いて居る上等兵殿の姿が私には神の様に見へた。
自分今日が日迄で毎日食事をやつて可哀想だとは思ひながらも顔に出さなかつたが、上等兵殿を見た時一度にせきを切つたかの様、とめ度なく熱い涙が頬を傳つた。鍋谷少佐殿に御願ひしてやつと上等兵殿に暖炉のそば迄つれて來てもらつた。
が、上等兵殿にはしつかりと銀明號を抱いた儘離れ様とはされなかつた。
そして銀明號は上等兵殿に抱かれた儘暖い暖炉の邊で一時つひに息を引取つた。
軍用犬らしく軍服に包まれ滿足氣に死んで行つた。
思へばお前も可哀想な奴だ。上陸以來氣持の好い日は一日も無かつたゞらう。が仕方がない、あきらめて呉れ。何も御國のためだ。
前の主人からも慰問の菓子も送つてもらつたのだ。
お前も御奉公し様と思つて故國遠く離れ此處迄來たのだつた。それ丈けでもう御奉公が出來て居るのだ。
心やすらかに此の大陸に眠り、我々の働きぶりを見守つて居て呉れ。


朝、銀明の葬式をする。
陣中の事故そう立派とは行かないが、眞心こめて送つてやつた。
銀明ヨ、お前も東亜建設の礎となつた。お前の御主人も此をきいたならさぞかなしむ事だらう。

然し安心せよ。きつとお前と二人分の御奉公は此の僕が引受けた。
安らかに眠れ。
お前の事は、一刻も早く知らせてやりたいが、軍務多忙に手紙がかけない。許せよ。



拝啓 春暖の候皆々様には御變り有りませんですか。
一寸御尋ね申上げます。
當地にても見渡限りの畑には、青々と麦は伸び、我々も重き防寒着を脱ぎ班員は無事なるも、唯一つ此處に悲しき報告を致さねばなりません。
それは岡山縣和氣郡松井猛氏愛犬ブランカ・フオム・ハウス・チグサ、軍名銀明號の陣没せし事であります。其のくわしき事は班員三宅より報告申上げます。
小生よりは無言の寫眞と○○攻撃の際の新鋭犬岩月號三宅一等兵の勇姿、永幡部隊長殿○○攻撃の差異一寸の閑に寫されし時、隊長秘蔵部下ビネー號勇姿三葉送付申上げます。
末筆乍ら皆々様の御隆盛を祈ります。

元○○部隊
○○部隊○部
寺坂四郎

昭和14年

生年月日 不明

犬種 日本テリア

性別 牝

地域 東京府

飼主 中込政重氏

 

昭和12年頃撮影

 

 

 

生年月日 不明

犬種 日本犬

性別 不明

地域 東京府

飼主 中込政重氏

 

 

 

昭和12年頃撮影