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きっと、星のせいじゃない。
(The Fault in Our Stars)

劇場。

末期ガンにより酸素ボンベを手放すことができないヘイゼルは、死を待つ日々に鬱々としていた。そんなある日、両親に促され、嫌々参加したガン患者の集いで、骨肉腫の克服のため片足を切断したオーガスタスという男の子に出会う。彼は彼女を部屋に招き、それぞれのお気に入りの本を紹介し合い…


とても良かった!大好き!!


まず、邦題がすごく頑張ってますね。珍しく有りです。原作の邦題は「さよならを待つふたりのために」なんですが、これはちょっといかにもじゃないですか。原題の直訳もいかにもなんですよ。映画化にあたって、この邦題の改変はとても良いと思います。ええ、そうです。きっと星のせいじゃないのです!!


まず前提として、この手のテーマの映画には、観る前からズルいなーと思ってしまいます。ザックリ言いますよ?すごくザックリ言いますよ?「人死んで泣かす系」じゃないですか。そんなの泣くに決まっています。何度か言ってきたと思いますが、「泣いた=良かった」ではないです。それが世の中では、どれだけ泣けたかと映画の良し悪しが混同され勝ちです。もちろん、泣けて、且つ良かった映画もありますよ。でも昨今の感動の押し付けには辟易してしまうんですよね。


そして、厄介なことにこの映画にはもう一つ役が乗っかっています。流行りのオシャレ映画です!しかもあからさまなオシャレ!ではなく、さり気ないオシャレ感のヤツです。この手の映画は、アレな感じな女子のくいものにされ勝ちです。オシャレで且つ泣けると来れば、女子冥利に尽きますからね。貪欲なみなさんはどんどんこの女子力アイテムを吸収していきますよ。


とかなんとか、わざわざ書いてみましたけど、どんなきっかけであろうとも、観に行った人は例外なく素晴らしいと思ってますからね?私の色々はいつもジョークですよ?


というわけで!そんな大きな役が乗っかったこの映画ですが、物凄く好きでした!おもしろかった!それもそのはずです、なんてったって脚本は(500)日のサマーコンビですよ!


もう、特に良いのがオーガスタスくんです!大好き!今までいろんな映画を観て、いろんな人を良いなー!と思ってきました。ウォールフラワーのエズラミラーくんや、ショートタームのカップケーキの旦那様、あとジェシーアイゼンバーグとジョージクルーニーは大体何の役でも好きですよね。しかし、今までスクリーンで出会ってきた男の子の中で一番好きですね。最も理想的です。彼はいつもヘラヘラと余裕で、ユーモアを忘れません。とても素敵なのです。


まず、ヘイゼルが初めてオーガスタスと出会った日、良い雰囲気で話ていたのに、ヘイゼルは突然気分を害します。彼がタバコを咥えたからです。肺を患うヘイゼルは激怒、「せっかくいい感じだったのに」と落胆します。しかし、オーガスタスは動じません。タバコを咥えたままヘラヘラしています。そして彼は言うのです「これはメタファーだ」と。彼曰く、タバコを咥えたまま火をつけずにいることは「命を奪うものから、その能力を奪うこと」のメタファーらしいです。この見事な返しにヘイゼルも笑ってしまい、2人はこの後オーガスタスの家に向かうことに。

こ れ な ん で す よ !

この余裕っぷりです。女の子が怒っても、まるで動じません。

もうこの場面に始まり、お伝えしたいセリフやエピソードが山ほどあります。本当に素敵なのです。しかし、こんなところで文字で読ませるのは野暮なので、是非とも素敵な彼をスクリーンでご覧になっていただきたいです。


もうひとつ、特筆したいことがございまして、この映画で初めて知ったことがあります!

「無限には大小がある」

ということです!
驚いた!本当にそうなのです。「0と1」の間には「0.1」「0.01」「0.001」…と、無限が詰まっています。同じように「0と100」の間にも無限が詰まっています。しかし「1と100」を比べると、大きいのは100です。無限にも大小があるのです。今まで考えたこともなかったので驚きました。だからどうって話は、是非とも映画でご覧になってください。


というわけで、とっても好きな人が出て、知らないことを知れて、しかも楽しくて、案の定わたしは泣いちゃいましたよね!そんなもん泣きますよ!


ただ、2人がついにキスをするシチュエーションが、アムステルダムで訪れたアンネフランクの家っていうのが、どうも私には気になってしまって集中できませんでしたよ。まあ、ここも原作に忠実っぽいので、仕方ないですけど。なんですかね、この人たち展示物一切みません。そのくせ、辛そうに階段で上っていくヘイゼルの映像に、施設内で流れるアンネフランクの言葉がはっきり入ってきて、字幕まで載りますよ。辛い中でも希望を信じてしまうとか、そういう内容で、関連性が無いわけでは無いのでしょうけど、突然アンネの家とか出されたら、私はそっちの方が気になってしまって、この2人のどうのこうのの方がノイズになってしまいました。無理をしてでもヘイゼルが自分と戦うシーンが必要であるのはわかりますよ、ここは葛藤のシーンでもあり大事な場面です。でもただ単にバリアフリーの無い環境としてこの施設が持ち出された感が拭えず、ちょっとこの辺で減点ですね。まあでも、第二次世界大戦下でアンネが隠れ家としていた家が、今では観光地となって恋人たちがキスをしてるのだから、これはこれで平和のメタファーですか?でもそれって話変わってくるじゃないですか 笑


まあ、これは私の気にしすぎです!こんなマイナス気にならないくらいのプラスがたくさんありますからね。本当に大好きな作品です。言い方悪いですけど、使い古された普遍的なテーマじゃないですか。それを重すぎず、軽すぎず、楽しく、真摯に、ちゃんとエンターテイメントとして作っていて、素晴らしいと思いました。


とても素敵な1本です!
是非とも劇場で!