また今週がはじまった。
今でも僕は看護師さんと色んな話をした
あの日々を、はっきりと思い出すことができる。
今でも僕の脳裏に浮かぶ言葉の数々。
肝心な記憶を失ってしまわぬうちに
ここに書きつづろう。
■私なんてとっくにキズものよ
手術が終わって車椅子で病室のベッドに
戻ってきた直後だった。
「はーい、到着!気分はどうですか?」
「・・・キズものになっちゃいました。」
「私なんてとっくにキズものよ~」
手術歴があるという意味なのか
非処女という意味なのか
バツイチという意味なのか
それとも。。。
想像力を掻き立てられる言葉だった。
■ホルモンバランス乱れまくりよ
運よく窓際のベッドだったので、
消灯後の2、3時間、外の夜景をみてから
寝るのが日課だったんです。キレイなんです。
看護師さんが見回りにきたら、
いつもは急いで寝たフリをしていたんですが、
その日は気がつかなかった。
看護師さんがカーテンを少しあけて
僕をチェック
「あ」
「あ」
「寝れないんですか」(ひそひそ声)
「窓に映る自分をみてるんです」(ひそひそ声)
(既に消灯しているんでホントは映っていません)
「はいはい」(ひそひそ声)
(30秒ぐらい経過)
「看護師さんの仕事ってすごく不規則ですよね」(ひそひそ声)
「そうよ。ほんとホルモンバランス乱れまくりよ」(ひそひそ声)
エロい響きの言葉だった。
■私もがんばるから、がんばってよね。
退院の前日の出来事です。
身体もかなり元気になってきていました。
折角、大きな病院なので、
病院内を探検しようと思い、
朝食後、病室を出て廊下を歩いていたら
「あ、○○さん、どこかに行っちゃいます?」
「はい、いっちゃいます」
「体温と血圧だけ測りたんですけど」
「了解です」
振り返って病室に戻ろうとしたら、
「あ、今、ここの処置室が空いてるんで、借りちゃいましょう」
看護師さんが処置室のドアを開ける。
電気をつける。
無人だ。
僕はしっかりドアを閉める。
処置室のベッドに隣り合って座る。
「体調はどうですか」
「会社に行きたくない病にかかっちゃいました」
「もー、私もがんばるから、がんばってよね」
体温を測る。
術後しばらくは微熱状態が続いていたが、
36度台まで戻っている。
血圧を測る。
血圧も超正常。
いつも低血圧なので、むしろ少し高いぐらい。
ドクドクと生命力がみなぎっているのを
自分の中に感じる。
「傷口みせて。。。うん、いいね。痛みはどう?」
「痛みもなくなってきました。。」
「すばらしい回復力ね」
心とは裏腹に、
身体は外でたたかうことを
望んでいるようだった。
ここにいる人は皆、医師や看護師の助けをかり、
皆懸命に自分とたたかっていた。
どうみても自分の中には、
そこまでしてもらい、
たたかうものは既にない。
既に、医師からは退院時期は
退院後の生活に自信が持てれば
いつでもokと言われていた。
一人暮らしということもあり、
傷口のケアも心配だし、
抜糸までいようか悩んでいたが、やめた。
僕は翌日に退院することを決めた。
「ありがとうございました」
僕はドアを開けた。