プロテストソング(Protest Song)とは、
反戦、政治批判、差別問題、反原発、いじめ、貧困…、
社会の中の不公平や不正について抗議する歌のこと。

プロテストソングは政府の圧力や言論統制、スポンサーの圧力など妨害を受け、
放送禁止、廃盤・販売停止など放送自粛曲になることが多い。

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻でも、
そのうちプロテストソングを歌う歌手が現れ、

戦争の悲哀や悲惨さ、平和の尊さが次世代に歌い継がれていくことになるはずだ。

日本では、プロテストソングは最近は聴かないように思える。
Z世代が支持する「ラップ」は、私には早口すぎて聴き取れないから苦手だけど、
プロテストソングを歌うラッパーっているのかな?

テレビや新聞では連日マイナカードの問題ばかりが報道されている。
トラブル続出で国民が不安視しても立ち止まることもせず強行する岸田政権。

2年前の令和3年12月29日、首相官邸HPでは「国民の皆様へのメッセージ」
には、
岸田政権は、来年も、国民の皆様の思いに応えられるよう、

国民の声を聞く丁寧で寛容な政治を進めます。
「国民の声を聞く」とは、多様な意見に丁寧に耳を傾け、

より良い方法やアイディアがあれば、躊躇(ちゅうちょ)なく取り入れ、

政策を常に見直し・改善していくことです。
と書かれているのだが…。

世論調査では
「岸田政権の支持率が低下し、不支持率が支持率を逆転した」
とあるが、岸田政権を支持している人がいることが不思議。

マイナカードの紐づけは健康保険より選挙の投票が先だと思うよ。
スマホで選挙に投票できるようになれば、

政治不信の若者もこぞって投票するはずだ。
国民は腐敗した政治に鉄鎚(てっつい)を下すべきだ。

新型コロナウイルスのパンデミックにより

世界中が外出自粛を余儀なくされていた2020年4月、

女優・杏が自宅で子どもが横に座り絵本を読んでる隣で

澄んだ美しい声で加川良の「教訓I」を歌った動画

話題を集めたことは覚えているはずだ。

この「教訓I」も立派なプロテストソング。


フォークシンガーの加川良の1971年の曲で、当時は私が中1くらいだったかな。
この歌はラジオでは歌詞が暗記できるくらいよく流れていて、

学校でも口ずさむ子が多く、子どもながらに
「こういう自由な、思ったことを歌ってもいいんだ」
と思ったものだ。

「教訓I」歌詞
命はひとつ 人生は1回
だから命を捨てないようにね
あわてると ついフラフラと
「お国のため」なのと 言われるとね
青くなって 尻込みなさい
逃げなさい 隠れなさい

御国はオレたち死んだとて
ずっとあとまで 残りますよね
「失礼しました」で終わるだけ
命のスペアは ありませんよ
青くなって 尻込みなさい
逃げなさい 隠れなさい

命を捨てて 男になれと
言われた時には 震えましょうよね
そうよ私ゃ女でけっこう
女の腐ったので 構いませんよ
青くなって 尻込みなさい
逃げなさい 隠れなさい

死んで神様と言われるよりも
生きてバカだと 言われましょうよね
綺麗ごと 並べられた時も
この命を 捨てないようにね
青くなって 尻込みなさい
逃げなさい 隠れなさい


反戦と平和の願いを込め、同時に国家への徹底した不服従の歌。

歌詞三番の、
「そうよ私ゃ女でけっこう 女の腐ったので 構いませんよ」
という箇所を、杏は
「腰抜けヘタレひ弱で結構 どうぞなんとでもお呼びなさいよ」
と歌い、すべての人々に届くようなメッセージとしているが、
こういうアレンジは歌う人が自由にしていいと思う。

杏のInstagramには、
「自分のことを守ることが、外に出ざるを得ない人を守ることになる。
 利己と利他が循環するように、一人ひとりが今、できることを
 杏」

と、メッセージが書かれている。


「教訓I」の発表された時代は、
アメリカでベトナム反戦運動から始まる反権力闘争、

黒人の基本的人権を要求する公民権運動が行われ、
反戦歌手ジョーン・バエズやボブ・ディランがプロテストソングを歌っていた。

日本では日米安全保障条約の改定に反対するために起きた

大規模なデモ活動(安保闘争)や
成田国際空港建設に反対する地域住民を中心とした反対運動(三里塚闘争)、
これらの闘争の原動力・全学連の左翼活動などで日本は揺れていた時期。

今からしたら考えられないけど、
当時は「革命」という言葉が何となく美しいロマンのように語られ、
「若者の力で世界が変えられる」
と本気で信じられていた時代でもある。

ジョーン・バエズやボブ・ディラン、

PPM(ピーター・ポール&マリー)といった反戦歌手に触発され、
日本では高石友也や岡林信康、高田渡、五つの赤い風船らの

フォーク歌手たちがプロテストソングを歌い、多くの若者たちの共感を得た。


ロシアによるウクライナ侵攻で始まった戦争は、終わりが見えない。
アメリカはじめNATO各国はウクライナに対して武器や資金を提供し、

軍事的な支援を強化している。


ロシアや中国などの独裁者による権威主義国家と、

欧米など民主主義国家との戦いという構図になり、
世界中で貧富の差が拡大し、

資本主義が壊れ民主主義も終焉を迎えようとしている歴史的転換期の

混迷の時代に私たちは生きているのだ。

今こそ、プロテストソングが次々と歌われてもいいはずなのに…。

これから50年後、100年後の子どもの教科書には、
今の時代がどう書かれるのだろう?


プロテストソング①「自衛隊に入ろう」…。