家城(いえき)神社(三重県津市白山町南家城)の境内、

というか雲出(くもず)川のほとりに
「こぶ湯」という霊泉がある。

「湧き出ている」
というより
「浸み出ている」
に近く、
塩ビ管からチョロチョロと流れ出てくる。

この霊泉は三重県内だけでなく大阪府や和歌山県、愛知県あたりからも

取りに来る人がいる。

そのくらい霊験あらたかな、腫瘍や癌にも効果があると言われ、

過去テレビ番組でも紹介されている。

霊泉代は無料だし、駐車場代もない。
というより駐車場は無いから近くの農道に停めるとか、

離れた場所に停めて持ち運びするとか。



琉球犬4頭は沖縄から三重県まで飛行機で一緒に引っ越してきた。

旅客機は円筒形の胴体の上半分が客室、下半分が貨物室というのが

一般的なレイアウト。


琉球犬は中型、大型犬だから金属製の檻に入れられ、

脱走できないように檻をネットで囲われ、
さらにロープで厳重にグルグル巻きにされてしまうのだ。

 

犬たちはさぞ恐怖だったに違いない。

貨物室は轟音のエンジンにほど近いから、

犬たちは田舎に到着後しばらく心身が病んでいた。

 

メス犬は生理がその年止まったり、半年遅れたりした。

年長の凛くんは引っ越し後から吐血するようになり

動物病院では重度の胃潰瘍と診断された。

凛くんは薬を飲まない。
というか食事に薬を混ぜても、薬だけを食器に残してしまう特殊な技があり、
神仏にすがる思いで「こぶ湯」を飲ませることに至ったのだ。



「こぶ湯」は「湯」ではなく冷水。
硫黄臭があるが、凛くんは抵抗がないようでがぶ飲み。

犬は肉食動物なのでビタミンやミネラルの補給として、
あるいは腹痛や吐き気など不快感を嘔吐で解消するため草を食べることがある。


犬自身が体調回復のために良いものを取り込もうとするのは本能といえる。

そういう意味では「こぶ湯」をがぶ飲みするのは

「効果がある」と認識したからに違いない。

実際に、毎日がぶ飲みしたら半月ほどで吐血が止まり、

約1か月に動物病院に行ったら不思議なことに胃潰瘍は完治していたのだ。



「こぶ湯」を取りに来る人はけっこう多い。
先客がいたり、次の人が来たり…、

とにかく霊泉はチョロチョロとしか出ないから
先客や次の人と話をすることがよくある。

「どこから来たのか?」
「どこが悪いのか?」
「〇〇が治った」
などの話が多い。

2リットルペットボトルが一杯になるまで約3分。
20リットル水タンクだと30分もかかる。

遠くから来る人は20リットルポリタンクを何個も持ってくる人もいる。
(立札には「1人20リットルか30分以内」と書かれているけど…)

霊泉は川のほとりにある。
ここから車を停めてある場所まで急坂を登らなければならない。


霊験あらたかの効き目があるにしても、年寄りにはそれが苦痛で
年配者は20リットル水タンクより2リットル、4リットルペットボトルが多い。

私は4リットルの6~8個。
両手で1個ずつ持って上がるのもけっこうしんどいよ。



テレビ番組で紹介されるとしばらくは行列になり、

深夜でも並ぶ時があるらしいが、付近は街灯もなく真っ暗闇のはず。

「ウソだと思って」
というより、
信じない人は飲んでも「ただの水」だと思う…。

また、割り込みなど順番を守らない人や

上に運んで仮置きした水入りペットボトルを盗む人とかもいて、
(私はペットボトルを盗られた。水くみ場で立ち話してたクソジジイに…)
こんなクズは天罰はあっても快復はあり得ないはず。
こういうクズは「徳」より「得」の生き方なんだろうね。


次回②に続く。