沖縄では最初に住んだのが本島南部、糸満市阿波根(あはごん)のパークタウン。
4LDK2階建てで家賃が月7万円(沖縄の家賃はけっこう高い)、ここに5年居た。


スーパーやホームセンター、郵便局、銀行なども近くて便利だったけど

高台なので自転車は使えなかった。


今はどうか知らないけど、当時は自治会の活動が活発すぎてうんざりだった。
そこは1980年代終わり頃から開発されたニュータウンで150戸くらいはあったね。


移転当時でも高齢者が多く、2割以上は空き家だった。
今はどうなってるんだろう?

その後、南風原(はえばる)町、国頭(くにがみ)村、名護市と移転。


そして今は実家の三重県だから、けっこう引っ越ししてる方だよね。


私は「断捨離(だんしゃり)」がヘタで未開封の段ボール箱を移動し続けている。
乙姫様からもらった玉手箱とか「舌切りすずめ」の大きい葛(つづら)みたいな

パンドラの箱じゃないけど、長年開けてないから中身もよくわからない。


いつか勇気を持ってマスクして整理しないと…。
妖怪とか出てこなければいいけどね。



今住んでいる過疎の田舎はおそらく限界集落(65歳以上の高齢者が人口に占める割合が50%を超えた地域)だと思うんだけど、空き家は3軒に1軒以上はある。

全国の地方自治体が管理する空き家・空き地の情報を集めた「空き家バンク」というサイトがあり、私の集落の空き家でも10軒くらいが登録されている。


農地や山林付きでだいたい150~300万円くらいで売りに出されている。

木材は湿気に弱い。
家に人が住まなくなると、ドアや窓は閉め切られた状態で換気が出来ない。
そうなると木材が腐ったり、カビの発生、シロアリに喰われたりなどで

家はボロボロになってしまう。

空き家バンクは行政が売り家の写真や図面、面積、農地や山林の有無などを

表示しているのだけど、行政は不動産業者ではないから、

売り家の取引は仲介業者を介入させずに所有者と買主で行われるのがふつう。

そのためトラブルになることが多いらしい。



長期間の空き家はリフォームが絶対に必要になるから、

家の価格が安いからと安易に飛びつくべきではない。


我が家も両親が亡くなって20年も空き家だったことで

帰省後はあちこちリフォームだらけだった。


中部電力は新規契約になり、窓は壊れガラスは割れ畳はボロボロ、

家の中はあちこち雨漏り、給湯器が使えないのは当然としても、

薪焚きの風呂やトイレも壊れていたし、納屋はハクビシンの住まい。


前から住んでいるハクビシンは自分の住まいだと思ってるから

夜に何とか台所に侵入しようと板壁を壊され、その都度修繕。


8畳や10畳間は畳をはがし板の間にして

害獣用のワイヤーメッシュ柵(フェンス)を個々の部屋の壁に打ち付けて

犬の脱走防止対策の個室を作った。


高い天井なので夏は涼しくて快適だけど冬は熱が逃げて

猛烈に寒いので天井を低めに作り断熱材も埋め込んだ。


調理や暖房も兼ねて時計ストーブを買い入れた。


度重なるリフォームはほとんどDIYだけど200万円以上はかかっている。

 

田舎では、空き家を買った価格と同じくらいのリフォーム代がかかると

覚悟しておいた方がいいよ。

田舎での生活環境では
「冬をどう低コストで越すか」
が課題だね。



「所有者と買主での空き家売買が問題なら地元の不動産業者を介入させればいい」
と思うでしょうが、

不動産の売買の手数料は宅地建物取引業法で厳しく決められている。

「売買金額が200万円未満」=仲介手数料は売買金額の5%
「売買金額が200万~400万円未満」=仲介手数料は売買金額の4%+2万円
「売買金額が400万円以上」=仲介手数料は売買金額3%+6万円
となっている。


仮に空き家が100万円と仮定すると、不動産業者の仲介手数料は
「100万円×5%=5万円」
売買に割いた時間、労力、移動費などを考えると

手数料5万円では赤字もいいとこ。

不動産業者は都市部の高い物件の売買をしたがり、
田舎の空き家の売買や賃貸は不動産業者は扱いされにくい。

それもあって「空き家バンク」は利用率が低い。
自治体の7~8割が、空き家バンクでの売買成立は年間10件未満らしい。

空き家物件は売買のややこしさやリフォームの必要など

「負動産」になっているのが実情というわけだ。



仮に空き家物件が気に入ったとしても、単に家だけの問題じゃないよ。

その地域の風習・慣習、自治会、常会などに馴染める?

隣地との境界問題があやふやだったり、近隣、集落の変人たちとの

お付き合いなどわずらわしいことは実に多い。

空き家物件を勝手に案内してブローカーみたいに手数料をもらおうとする

あくどいジジイもいる。

田舎に移転してくる人は、吉田松陰が収監されていた

江戸伝馬町牢屋敷に新参者として入牢するのと同じだよ。


牢名主を始め、ズラッと並んだ気難しい先住民たちと

仲良しこよしで過ごす自信ある?

童謡「通りゃんせ」の
「行きはよいよい 帰りはこわい」
みたいに、うっかり入り込むと大変だよ。