昨日4月9日(日曜)お昼前に、

三重県度会(わたらい)町の山間の舗装された町道で、

1人で散歩中の60歳女性に4頭の猟犬が襲った咬傷事件があった。

被害女性は頭皮や耳を食いちぎられるなどの重症で

救急車で病院に搬送され集中治療室で治療中らしい。

猟犬4頭は
「背中までの体高60cmほどある2歳~16歳の成犬」
読売新聞によると「中型犬」と書かれていたけど、

体高60cmもあったらもう大型犬だよね?
しかも16歳ったら老犬だよ。
人間でいえば100歳くらいのはず。
イノシシに跳ね飛ばされるんじゃない?

飼い主は狩猟免許を持つ67歳の男性。
町役場からの依頼で害獣のイノシシやシカを捕獲するため、

山の中に猟犬5頭を放していた。
5頭のうち4頭が女性を襲った。

「飼い主は離れた所で猟犬が吠えているので駆けつけたところ、

4頭が女性に噛みついていた」
というのだけど、

飼い主が駆け付けるまでのけっこう長い時間

4頭に咬まれ続けていたことになるし、
現場は携帯電波が届かないエリアで、

飼い主が車で電波の届く場所まで移動し119番通報したというから
咬まれてから救急車が到着し、病院に搬送されるまで

相当な長時間がかかったことになる。

被害女性は猛犬になすすべもなく咬み殺される恐怖と

頭皮や耳を咬みちぎられた激痛で、恐ろしい災難に遭ってしまった。

警察は調教や管理に問題がなかったかなどを調べているらしい。


猟犬は害獣のイノシシやシカ、タヌキ、キツネ、ハクビシンなどを獲り、
飼い主を喜ばせ褒美をもらうのだけど、人を
「怪しい、不審者だ」
と認定することもままある。

ネットでは、
「被害女性が、姿を現した猟犬に何かしたんじゃないか?」
と、さも
「被害者にも落ち度があったかも」
というコメントも見受けられるけど、
仮に杖を持って林道を散歩していたと仮定しても、
突如現れた猟犬4頭に、女性が果敢に杖を振りかざすことは考えにくい。

宮本武蔵や塚原卜伝などの剣豪であっても猟犬4頭は倒せないと思う。
猟犬4頭は獲物の周囲を取り囲み、スキを見て足とか咬んでは離れ、

相手を倒すという波状攻撃をしてくるはずだから。

女性で、しかも60歳だったら杖を持っていたとしても

恐怖で身体が硬直し逃げることも出来ず呆然と立ち尽くしていたはず。


飛びかかって来た最初の猟犬に倒され、

その後は4頭に執拗(しつよう)に咬まれ続けたはずだ。

「猟犬4頭は狂犬病の予防接種は済ませていた」
らしいけど、

日本では1956年を最後に狂犬病は撲滅してるのだから

予防接種の有無はそれほど重要ではない。

問題はそこではなく、
「町役場からの依頼で害獣のイノシシやシカを捕獲するため」
なのだから、
猟犬5頭に害獣を追わせる狩猟を、

町役場が地域住民や狩猟エリアに周知徹底させていたのかどうかだ。

被害女性に落ち度はまったく無い。

私が住む集落でも、猟犬を散歩中に時々放す飼い主が2人いる。
飼い犬はさぞかしお利口ちゃんなんだろうけど見ていて心配でしょうがない。

その飼い主たちは親友同士。
「自分の犬は賢い」
だから
「どう?見て、見て!うちのワンちゃんはすっごい賢いでしょ!」
と、自慢するように意図的に放し、フリスビーもしている。


犬を放すその時間帯は高齢者の散歩や障害者のリハビリ散歩もあり、
いつなんどき犬が「不審者」と認定して襲う、

なんてことが無いとは言い切れないはずだ。

「動物愛護管理法(動物の愛護及び管理に関する法律)」
の7条1項および3項、
三重県の「動物愛護管理条例(動物の愛護及び管理に関する条例)」
でも犬の放し飼いは禁止されている。

保健所に通報してやろうか?



沖縄では1995年(平成7年)4月、有名な
「アメリカンピットブルテリア口咬事件」
があり、今でも綿々と語り継がれている。

飼い主から放されていたアメリカンピットブルテリア2頭が、
石川市民の森公園内遊歩道で遊んでいた6歳女児と5歳の女児に襲いかかった事件。

2頭は最初に6歳女児を襲い、助けようとした5歳女児にも咬みついた。
6歳女児はズタズタに引き裂かれ即死、5歳女児は重症。

 

亡くなった女児は生きていれば今年で34歳。

青年期に素敵な恋愛をしたり就職をしたり、結婚して母になっていたはずだ。


その口咬事件の加害者と被害者双方と親しかった方が私の知人。
私は事件の内容を詳細に何度も聞いている。

 

加害者と被害者は家族同士の仲良しだった。

加害者は資産家だったが被害者への補償で全財産が無くなり加害者家族は離散、

加害者は行方知れずとなった。

被害者だけでなく加害者も不幸。

どんなに賢い犬でも、99%は信じられても、

残りの1%はわからない部分が必ずある。
飼い主はその辺を十分理解しておく義務があるはずだ。



今回の三重県度会(わたらい)郡の口咬事件の現場は

度会町火打石(ひうちいし)。

時代劇ドラマや映画で、出かける夫に
「行ってらっしゃい」
と、背中に「カチッカチッ!」と石を打って火花を出す、

その石が「火打石(ひうちいし)」というのは誰もが知っているはず。

火打石をカチカチ打った火花を「切り火」といい、
この切り火はマッチやライターのように火をつける道具としてだけでなく
「厄除け」や「邪気払い」であり、

仕事の成功や旅の安全などの「縁起かつぎ」としても昔から使われていた。

古来、日本では火は神聖なもの、清浄なものとされ、
邪気など悪いものは火を嫌うと考えられてきた。

江戸時代では、厄除けやお清めに効果があるとされ、縁起かつぎで
「無事に帰ってきますように」
「良くないことが起こりませんように」
「うまく事が運びますように」
と家を出て行く人に願いを込めて切り火を行っていた。

私も受験で実家を出る時に明治生まれの祖母がやってくれたよ。

 

口咬事件の現場は火打石の名産地なのだ。


「火打石」の歴史は古く、古事記や日本書紀に出ている。

倭建命(やまとたけるのみこと=古事記、日本書紀では日本武尊)は
伊勢の大御神宮(伊勢の神宮)を参拝し、

そこで巫女をしていた叔母の倭比売命(やまとひめのみこと=古事記、

日本書紀では倭姫命)から
草薙剱(くさなぎのつるぎ)と御袋を授かり、東征に出発した。

倭建命は相武国(さがむのくに、相模国=神奈川県付近)で

国造(みやつこ)に騙され、野に火を付けられる。


倭建命は「草薙剱(=皇統の御印である三種の神器の一つ)」で

草を刈り払い一命が救われ、
御袋の伊勢の「火打ち石」の火が、

迫りくる猛火を押し返す向い火になって助かった。

これにより、その地を焼津(やきつ、静岡県焼津市)といい、

草をなぎ払ったことで草薙剱という。


「邪馬台国=大和説」
から
「倭比売命=卑弥呼」
という説もある。


度会町火打石の露岩の1つは、1938年(昭和13年)
「小川郷の火打石」
として三重県指定の天然記念物となっている。

由緒ある「火打石」 という名前の付いた村落での今回の咬傷事件。
何だかなぁ…。

 

被害女性の補償も十分されるのかな?

猟犬4頭はどうなるんだろう、殺処分かな?