キャンディーズの『春一番』(1976年)の歌詞に出てくる「つくし」。

「雪がとけて川になって 流れて行きます
つくしの子が恥ずかしげに 顔を出します
もうすぐ春ですねえ ちょっと気取ってみませんか
…」

春といえば「桜」だけど、もう桜吹雪も終わり。

私が大学受験の頃は合否を伝達する電報があった。
地方の受験生は合格の受験番号を掲示する構内のボードを見るため

わざわざ上京しなくていいように
受験会場の出口には大学生のグループがあちこちで合格電報の勧誘をしていた。


合格は「サクラサク(桜咲く)」、不合格は「サクラチル(桜散る)」
500円だったかな。
私は電報を利用して桜が咲いた。
私は名古屋大を受験し地元の三重大学は受験しなかったけど、
三重大の合否電報は
合格が「イセエビタイリョウ(伊勢海老大量)」
不合格が「イセワンニテザショウ(伊勢湾にて座礁)」
だったらしい。
(名古屋大は桜が散ったぐすん

今はわざわざ受験大学の構内まで掲示ボードを見に来るまでもなく
ネットでどこでも合否照会が出来るらしい。
進化したんだね。

私の知人はキャンディーズの熱狂的ファンで応援団長もやっていた。
彼は時間がある時は渋谷のナベプロでボランティアの手伝いをしていたが、

キャンディーズは事務所に「一度も来なかった」と。
売れっ子で全国を飛び回っているのだから芸能事務所になんかに来るわけないよね。


桜は散ったけど、つくしが春らしさを醸(かも)し出している。
緑の草の中に「つくし」の茶色い頭を見つけて心が躍り、

春の訪れが実感できるし懐かしい。
子供の頃、母や祖母とつくし摘みをするのが楽しみだったから。

「家を出でて 土筆摘むのも 何年目」(正岡子規)


日常に埋もれがちな小さな春の風物詩「つくし」は
胞子を放出したあとは枯れて、同じ場所にスギナ(栄養茎)が生える。

「つくし」は漢字で書くと「土筆」。
先端の袴(はかま)が筆(ふで)に似ていることに由来している。


胞子を出す前の若い緑色のツクシは春の山菜として食用になる。
袴を取り除き灰汁(アク)を抜く。
煮物、炒め物、卵とじなどで子供の頃に食べていたけど…。

「土筆煮て 飯くふ夜の 台所」 (正岡子規)

あまり美味しかった記憶はないから今は懐かしさを思い出すことで十分。